骨粗しょう症治療に骨形成を促す新たな薬剤【フォルテオ、テリボン】

2015年07月08日 治療戦略

骨粗しょう症は、椎体圧迫骨折や大腿骨骨折をはじめとする骨折のリスクとして極めて重大な病態です。   骨は骨形成(骨が新しく作られる過程)と骨吸収(骨が壊される過程)を常に繰り返しています。骨粗しょう症ではこの骨の代謝バランスが崩れています。そこで、骨粗しょう症治療薬ではこの骨代謝のバランスを正常な状態へ近づけるように作用します。   骨吸収(骨が壊される過程)を抑制する強力な薬は存在していましたが、それまで骨形成(骨が新しく作られる過程)に作用する強い薬はありませんでした。また、骨吸収を抑制する薬は、起床時内服し、内服後30分間横になれない、顎骨壊死などの問題点がありました。   そこで登場した薬が副甲状腺ホルモン(PTH)製剤であり、テリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)であります。   骨を新しく作る細胞として、骨芽細胞という細胞があります。テリパラチドはこの骨芽細胞に働きかけることで、骨形成を促します。その結果として、骨粗しょう症を強力に治療することができます。    副甲状腺ホルモン(PTH) ホルモンの中には骨代謝に関わっているホルモンが存在します。このホルモンの一つとして、副甲状腺ホルモンがあります。副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進することで、血中のカルシウム濃度を上げます。   血液中のカルシウム濃度の上昇は、骨に存在するカルシウムが血液の中に溶け出すために起こります。これらの副甲状腺ホルモンの作用のため、常に副甲状腺ホルモンが分泌されていると骨吸収が促進されます。   普通に考えると、骨吸収を促す副甲状腺ホルモンが骨粗しょう症治療薬になることは考えられません。しかし、副甲状腺ホルモンの投与方法によっては骨密度を上昇させることが分かっています。   その方法とは、「断続的に途切れ途切れで副甲状腺ホルモンを投与する」という方法です。一時的にのみ副甲状腺ホルモンの濃度を高めると、その逆に骨形成の促進が観察されます。   副甲状腺ホルモンには「骨芽細胞を増やす作用」や「骨芽細胞の自然死抑制」などの作用もあり、この骨形成促進作用のみが引き出されたと考えられます。つまり、骨芽細胞の数が増えるため、骨形成が促進されます。   このように、断続的に投与することによって「血液中にカルシウムが溶け出す作用」よりも「骨芽細胞が作られることによって、骨形成が促進される作用」の方を引き出すことを可能としました。   教科書で習うことを鵜呑みにしていれば、今回のような薬は生まれていません。しかし、投与方法を変えてみれば、教科書で習う事と真反対の事が起こってしまったのです。発想の転換がなした、極めて重要な薬剤です。   フォルテオは1日1回自己注射で投与する製剤であり、テリボンは1週間に1回医療機関にて投与する製剤という違いがあります。 1週間に1度医療機関に通院可能な方は、テリボン、1週間に1度医療機関に通院するよりも連日自己注射を行った方が良い方はフォルテオとライフスタイルに合わせた治療選択を行えることが可能となっております。   なお、骨粗しょう症治療薬であるテリパラチド(商品名:フォルテオ、テリボン)は投与量を多くしたり投与期間を長くしたりすると、それに応じて骨肉腫の発生確率が高くなるとラットを使った動物実験で明らかになっています。   そのため、テリパラチド製剤はずっと使い続ける事の出来る薬ではなく、投与期間が決められている一生のうち一定期間しか使用できない薬となっております。テリパラチドを一定期間投与終了後に骨吸収抑制薬を投与することによって、その上昇した骨密度を維持することも分かってきております。