膠原病とよばれる病気
膠原病に含まれる病気
人の細胞と細胞を結び付けている結合組織である膠原線維や血管に病変を認める病気を膠原病とよびます。膠原病の特徴として全身に炎症が現れる、遺伝的素因がある、大半が女性であるといったようなことがあります。また、リウマチも膠原病の一種になります。
膠原病に含まれる病気
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下記、6疾患は古典的膠原病と呼ばれています。
●全身性エリテマトーデス
●リウマチ熱
●強皮症
●皮膚筋炎および多発性筋炎
●結節性多発性動脈周囲炎
●関節リウマチ -
現在では下記の病気も膠原病関連疾患に含まれます。
●シェーグレン症候群
●混合性結合組織病(MCTD)
●ウェゲナー肉芽腫症
●高安動脈炎
●側頭動脈炎
●好酸球性筋膜炎
●成人スティル病
●強直性脊椎炎
●乾癬性関節炎
●ベーチェット病
●サルコイドーシス
膠原病の特徴
- 原因不明の疾患
- 全身性炎症性疾患(発熱、体重減少、倦怠感、易疲労感)
- 多臓器疾患(皮膚、関節、腎臓、肺、心臓、神経、筋、消化器、眼、血液)
- 慢性疾患(再燃と寛解を繰り返す)
- 結合組織のフィブリノイド変性
- 自己免疫疾患
膠原病の考え方
膠原病は、病理学者Paul Klemperer(1887-1964)が1942年に提唱した新しい病気の考え方です。何世紀もの間、病気は特定の臓器が障害されて起こるとする「臓器病理学」の考えが支配的であり、病気の診断は臓器の病変に基づいて行われてきました。
Klempererは、全身性エリテマトーデスのように多数の臓器が同時に障害され、どの臓器が病変の中心であるのかを特定する事が出来ない病気があることに気づきました。綿密な病理組織学的検索によって全身の「結合組織」が病変の主座であり、しかも「フィブリノイド変性」という病理組織学的変化が共通して見られることを示し、このような疾患群を「膠原病」(Collagen Disease)と命名しました。
膠原病の考え方は、以後様々な批判と新しい知識が加わりながらも基本的には大きく変わることなく現在に広く定着しています。
膠原病の考え方は、とりわけ臨床医には好意的に受け入れられました。
しかし、Klempererは「膠原病」が「診断名」として安易に使われすぎることを懸念し、この名称は臨床的および病理学的に理解が困難な症例に対するくずかご的診断名ではないと警告しました。Klempererの意図したことは、病気の成り立ちについての考え方であり、決して疾患名あるいは診断名を提供することではありませんでした。
しかし、70年以上たった現在でも生半可で安易な「膠原病」という病名が堂々とまかり通っていることを考えるとKlempererの危具は当を得たものであったといえましょう。このような経過から、欧米では現在「膠原病」の名称が論文や教科書で使われることはほとんどなく「結合組織疾患」(connective tissue disease)や「リウマチ性疾患」(rheumatic disease)の名称が多く用いられています。
一方、わが国では「膠原病」の名称は語呂の良さもあり、ともすると病名としても誤用されるきらいはありますが、現在でも広く定着しています。
膠原病の治療
膠原病の治療で大切なことは、異常な免疫反応と炎症反応を抑えることです。そのためステロイド剤や抗リウマチ薬など薬による治療法をはじめ、血漿交換療法や免疫吸着療法などの血液浄化療法、生物学的製剤による治療法など膠原病治療も大きく変貌しつつあります。
膠原病とリウマチ性疾患の関係
「リウマチ」(rheumatism)という言葉は、もともとはギリシャ語で「流れ」を意味し、痛みの原因となる物質が体の中を流れると考えたことに語源があります。ここから関節・筋肉・骨などの運動器官の痛みを伴う病気をすべて「リウマチ性疾患」と呼ぶようになりました。わが国では単に「リウマチ」という場合は、関節リウマチという特定の病気のことをさす場合がほとんどです。
膠原病全般に共通する症状の一つとして、全身の関節の痛みが高頻度に見られることから、膠原病のほとんどはリウマチ性疾患です。また、逆にリウマチ疾患の中には膠原病の定義に当てはまる病気が多く見られます。
関節リウマチも膠原病の1つです。
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