原因は未だに不明
リウマチの原因は、遺伝的素因と環境因子が複雑に絡み合って発症するとされておりますが、自己免疫疾患であり、依然不明であります。自己免疫疾患は、ご本人に何も責任がない、何も悪いことをしていないのにもかかわらず発症していまう疾患です。
中年の方にみられる高血圧、高脂血症、2型糖尿病などは、生活習慣の乱れなどによって引き起こされる疾患で、食生活や運動など生活習慣の是正により病気が改善したり、予防できたり致します。
リウマチもこれらの病気のように、予防することが出来ればどんなに良いことか、と思います。
抗CCP抗体
抗CCP抗体が、リウマチの予防マーカーのように言われることがあります。
予防というのは、治療介入のない、食事や運動などご本人ご自身で行えるものであり、治療介入するということは、治療介入による弊害(副作用)の可能性が生じてしまっており、予防とは言えません。
抗CCP抗体がリウマチの予防マーカーと誤解されるようになったのは、オランダで行われた早期関節炎の方に対して行われた【PROMPT試験】(下記)の結果からでした。
これはオランダで行われた試験であり、国民皆保険である日本で、抗CCP抗体陽性の関節炎に対し、保険診療でMTX治療を開始することはできません。
リウマチに対するMTX治療はアンカードラッグであり、欠かせない存在ですが、薬剤性肺障害やリンパ増殖性疾患などのリスクがあり、リウマチ進展予防のためにそのリスクを抱えながら使用すべき薬剤ではありません。
PROMPT試験
早期関節炎の方に対して行われた【PROMPT試験】は、抗CCP抗体陽性に対する早期治療介入の重要性、MTX治療によるリウマチ進展予防効果を示しました。
1987年ACRリウマチ分類基準を満たさない発症2年以内の診断未確定関節炎の方を①MTX治療群(n=55)、②placebo治療群(n=55)に割り付けし、リウマチと確定診断された割合、関節破壊の進展度を評価しました。
【結果】
30ヶ月後にリウマチの分類基準を満たした割合は、①40%、②53%で明らかな有意差は認めず、関節破壊の進展度も明らかな差を認めませんでした。
しかし、抗CCP抗体陽性のみでサブ解析を行ったところ、MTX治療介入によりリウマチへの進展を予防し、関節破壊の進展も抑制しておりました。
ご本人らしい生活を
リウマチになってしまったらと考えると不安になってしまう、とか、リウマチになってしまったどうしよう、とか、このような漠然とした不安がつづくことが最も憂うべき事態かもしれません。
ご本人らしい生活(しっかり栄養をつけ、できるだけ動き、よく笑い、しっかり睡眠をとり、手洗い・うがい・マスクで感染対策、ストレスをためない)をリウマチであっても、そうでなくてもお送りいただきたいと思います。
現在、関節リウマチと診断されれば、良い薬が多数存在しており、寛解は現実のものとなっております。
予防につながっても、つながらなくても、リウマチであっても、そうでなくても大切なのは、“いつでも自分らしい生活”。
何かあれば早めに先生に相談するというスタンスが重要であると思います。
INFORMATION関連記事