- ヒト由来のたんぱく質で作られている
- TNF阻害薬
- 皮下注射
- 在宅自己注射ができる
- 2週間に1回の投与
- メトトレキサートと併用しても、しなくても使用できる
ヒュミラのしくみ
ヒュミラははTNF阻害薬の一つです。炎症の元となるTNFαを抑えるだけでなくTNFαを作り出す細胞を壊す力も持っている抗体製剤です。ヒュミラ以外のTNF阻害薬は、レミケード(インフリキシマブ)、エンブレル(エタネルセプト)、シンポニー(ゴリムマブ)、シムジア(セルトリズマブ)があります。(2018年1月時)
ヒュミラの使用方法
皮下注射製剤
皮下注射製剤で、自己注射も可能です。
投与方法は、2週間毎に40mg皮下注射を行い、半減期は約14日間です。月に2回の皮下注射で良いため、万が一自己注射が困難な方が投与継続する場合、月2回の通院ですみますが、週1日製剤であると月4回も通院しなければならず、通院負担増を強いられてしまいます。当然自己注射としても月4回より2回の方が、負担は少ないです。
メトトレキサート投与量について
現在、日本ではMTXは16mg/週(8錠)まで投与可能となっております。この8mg/週より開始したMTXが16mg/週まで増量可能となり、その必要性についてお示しいたします。
患者背景
【HOPEFUL試験】 罹病期間0.3年、DAS28-CRP 5.99
【OPTIMA試験】 罹病期間0.38年、DAS28-CRP 5.87
と同等の背景で、
MTX治療介入後26週での
DAS28-CRP<2.6による寛解達成率;
【HOPEFUL試験】 14.7%
【OPTIMA試験】 16%
と差は認めませんでした。
しかし、MTX治療介入後26週での
総Sharpスコアの年間変化<0.5による構造的寛解達成率;
【HOPEFUL試験】 35.4%
【OPTIMA試験】 72.2%
と【OPTIMA試験】におけるMTXコントロール群において、骨破壊抑制効果が良好でありました。
この相違の原因として、【HOPEFUL試験】ではMTX6~8mg/週、【OPTIMA試験】ではMTX20mg/週であり、MTX週投与量が要因として考えられました。このようにMTXについても、その方に対して十分量投与するか、あるいは出来るか否かで治療効果が大きく変わってきますので、注意が必要です。
ヒュミラに関するエビデンス
PREMIER試験
ヒュミラは、ヒュミラ単独、MTX単独と比べ、MTXと併用にて優れた有効性を示し、ヒュミラを導入するまでの期間が治療予後に影響することが示されました。(導入が早ければ早い程、完全寛解の可能性が高くなる)
HARMONY試験
これまで様々な治療歴を行われた進行期リウマチに対しても、優れた臨床効果に加え、関節破壊抑制効果が示されました。
OPTIMA試験
MTX投与歴のない超早期リウマチで、MTX+ヒュミラ治療を開始し低疾患活動性を維持すれば、ヒュミラを休薬してもその後1年間はMTX+ヒュミラと同等の効果を維持でき、ヒュミラフリーの可能性が示唆されました。
産業医科大学第一内科学講座(田中良哉教授)からもヒュミラフリーの報告がなされ、OPTIMA試験のような超早期リウマチでなくても(罹病期間;7年)ヒュミラフリーを達成できる可能性が示唆されております。
注意点
抗アダリムマブ抗体(anti-adalimumab antibody;AAA)は、アダリムマブ(ヒュミラ)に対する中和抗体であり、血清アダリムマブ濃度を低下させるため、薬剤の有効性を減弱させる可能性があります。AAAの発現は、重篤な感染症の発生には関与しませんが、投与部位反応はAAA陽性群で効率にみられます。MTX併用にて、AAAが低下することが知られており、ヒュミラはMTX併用にて最大の効果発現が得られ、副作用軽減にもつながる薬剤です。
リウマチ以外の疾患への適応
ヒュミラは、リウマチ以外にも多くの難治性疾患に保険適応があり、適正使用によって多くの方々の光明となる薬剤です。
- 尋常性乾癬
- 関節症性乾癬
- 強直性脊椎炎
- 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
- 腸管型ベーチェット病
- 中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
- 中等症又は重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)
- 非感染性ぶどう膜炎
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