ステロイドに依存しない
治療戦略を考えます
一時的な使用に限る
ステロイドは、疾患によってはその投与によって疾患活動性が抑えられ、通常に近い生活を送れ、今でも重要な治療薬であることには疑う余地はありません。ただ、それらの疾患についても、リウマチのようにステロイドにとって代われる薬剤が登場すれば、今後使用される頻度が減ることが望まれているのも確かです。
リウマチに対するステロイドの使用は、
(1)症状が極めて高く、MTXや生物学的製剤などの効果発現までの期間限定
(2)妊娠・授乳中など他の薬剤を使用できない期間限定
など、その使用期間が決まっていて使われるべきお薬です。
リウマチ治療で用いられるステロイド使用は、中止する時期を予め設定し、一時的の使用に限られます。
ステロイドの副作用
ステロイドは、骨粗しょう症、感染症、糖尿病、胃潰瘍をはじめ多くの副作用があり、その使用に際しては最大限の注意が必要です。
エピソード
3年前発症の20代のリウマチの方
3年前発症の20代のリウマチの方で、治療方針についてご相談という形で、お母様と一緒に来院されました。
治療内容は、抗リウマチ薬(リマチル)に加え、ステロイド(プレドニゾロン(PSL)5mg)を3年間ずっと内服され、痛み・腫れは良い時もあれば、悪い時もありを繰り返されていたそうです。
レントゲンを撮影すると既に手指に骨びらんがあり、stageⅡの状態でありました。
私は、自分の研修医時代の苦い経験が蘇ってきました。当時、リウマチ治療は確立したものがなく、若くして関節破壊・変形されてしまった方々を多く見て、どうすれば破壊・変形しないで済むのだろう?とずっと疑問に思っておりました。現在、MTXをアンカードラッグとして、必要があれば生物学的製剤を用いて、低疾患活動性~寛解を目指す治療が確立しており、関節痛がひどい場合、MTXや生物学的製剤の効果が現れるまでの間、一時的にステロイドを投与することはあっても、リウマチの根治治療を強化することなくステロイドを漫然と使用することはありません。
この方は、お母様にもよくお話した後に、MTX+生物学的製剤を導入し、ステロイドも徐々に漸減し、中止可能となりました。現在、寛解を達成し、バイオフリーを目標に治療を続けられております。
どうか根本的治療強化がない状況でステロイドを漫然と内服されないでください!
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