関節リウマチの診断・治療を行うためにはさまざまな検査が必要です。どうして検査を行うのか、検査がどんな意味をもつのかをご紹介します。
鑑別診断
病気の治療を開始する前に、まず診断して病名を確定することが先決です。「関節リウマチ」と病名が確定してはじめて、関節リウマチの一般的な治療が可能になります。もちろん、関節リウマチと確定されないと治療用に指定されている薬は使用できません。
関節の痛みや炎症を起こす病気や症状の一部が関節リウマチに似た病気は、実は数多くあります。関節リウマチの診断にあたっては、これらの似た病気との鑑別を付けることがポイントになります。関節リウマチ以外の病気であれば、治療法も変わってきます。
関節リウマチに似た症状を示す病気(代表例)
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漸新世エリテマトーデス
臓器に障害が出る全身の炎症性疾患
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強皮症
皮膚だけが硬化するタイプと、硬化が全身の臓器に及ぶタイプがある
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皮膚筋炎
顔面、体幹、四肢に対照的な紅斑・浮腫が出て、筋力低下・圧痛など
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多発性筋炎
全身の筋肉の筋力低下、筋萎縮、筋肉痛
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結節性多発動脈炎
全身の中・小動脈の外・中・内層に起こる炎症、心筋梗塞に至る場合もある
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ベーチェット病
口腔内アフタ、外陰部潰瘍、蓄膿性ぶどう膜炎などの炎症性疾患
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シェーグレン症候群
口が渇き、涙が出にくくなり、結合組織に変性が起きる
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再発性多発軟骨炎
軟骨および結合組織に炎症と破壊
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リウマチ熱
溶連菌により関節や心臓に発熱、炎症を起こす
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細菌性関節炎
黄色ブドウ球菌などによる炎症
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ライター症候群
感染性の尿道炎などにつづく関節炎で、下肢関節に多い
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強直性脊椎炎
靱帯付着部の炎症など、脊椎や仙腸関節が阻害され腰痛に
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痛風
単発または少数、非対称性で趾第一関節に関節炎を生じる
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偽痛風=関節軟骨石灰化症
膝の半月板や関節軟骨が石灰化する痛風に似た症状
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変形性関節症
単発または少数で手指の第一関節や膝に生じる関節炎
疾患活動性の評価と治療方針の決定
関節リウマチは、関節の腫れや関節炎からはじまり、軟骨⇒骨⇒靱帯⇒筋肉の破壊、関節破壊へと進行し、同時にさまざまな全身症状をともないます。このような病気の進行度や病状、患者さんの機能障害(生活し難さ)の程度などを総合して「疾患活動性」といいます。
疾患活動性は関節リウマチのタイプや発症時期など、患者さんによってかなり異なるものです。そのため、医師の所見に加えて必要に応じた検査を実施して疾患活動性の評価を行います。疾患活動性の評価によって治療方法や使用する薬を決定していきます。
臓器障害の評価
関節リウマチの症状は関節破壊から全身におよびます。このうち、心臓や肺などの主要な臓器の障害は、重大な結果を招く可能性があるため注意が必要です。臓器障害の有無や程度を確認するために、必要な検査を実施していきます。
副作用の評価
関節リウマチの治療にはさまざまなお薬を用いますが、時に副作用が現れることがあります。副作用を出さないように治療することが最も大切で、副作用を避けるために、薬の使用直後や時間をおいて患者さんを診察し、必要な時は検査で副作用が起きていないかを確認します。
治療の効果判定
薬の効果は、その種類・用量・用法・時間の経過、そして患者さんの体質などによって差が出ます。したがって定期的に効果を確認し、効果が上がらないときは薬の種類・用量・用法を変えて病状の改善を図る必要があります。
病状の変化を逃さないためにも検査は欠かせません。
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