生物学的製剤とJAK阻害薬

生物学的製剤は分子標的治療の1つ

炎症における複雑なネットワークをつなぐ特定のサイトカインや、特定の炎症細胞どうしの相互作用に関わる分子をピンポイントに標的とする治療を分子標的治療と言います。

 

その中でも、化学合成ではなく生物(チャイニーズハムスターの卵巣細胞など)を用いて、抗体やその受け手である受容体などの蛋白質を遺伝子工学の手法により作成したものを生物学的製剤と言います。

化学合成で作成したJAK阻害薬
(低分子化合物)

一方、従来の手法である化学合成で作成した薬剤を低分子化合物と呼び、リウマチの病態に関わる分子を標的としたJAK阻害薬はそのひとつです。

生物学的製剤は分子量が数万以上と大きいため体内の細胞の表面や細胞の外の物質の阻害・中和などの作用ですが、低分子化合物は数百程度の分子量であり細胞の中にまで入り込み作用を発揮します。そのため、生物学的製剤は大量に投与されても比較的安全ですが、一方、低分子化合物では用量の安全域が比較的狭くなるという違いもあります。