滑膜の炎症について

滑膜とは?

関節を動かす時に、硬い骨どうしがぶつかって傷ついたり、痛みが出ないようにしているのが「軟骨」と「滑膜」です。

 

関節の骨と骨が向き合う面は「軟骨」でおおわれています。軟骨はコラーゲン(膠原繊維)に富んでいて、水分を70~80%も含む弾力性のある組織で、関節を滑らかに動かす働きをしています。

 

「滑膜」は軟骨の働きを助けています。滑膜は厚さ1mmにも満たない薄い膜で関節の内側をおおっています。滑膜からは関節液が分泌されていて軟骨がこすれ合う時の潤滑油になったり、軟骨へ栄養を補給していたりします。滑膜は、関節液がもれないように閉じられたビニール袋のような組織です。それはまるで、骨と骨との間につくられた「水まくら」のようなクッションです。

滑膜の炎症が、はれ・痛み・骨破壊の原因

リウマチは、進行すると関節、骨が壊されてしまう病気ですが、リウマチの本体は、”慢性持続性滑膜炎“です。滑膜が病気の首座であるのに、どうして骨が壊されてしまうのでしょうか?

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異常な免疫活動が起こってしまうと、滑膜に炎症が起き、クッションの役割が果たせなくなります。これが関節リウマチの状態です。

 

滑膜の腫れ

滑膜は充血して腫れあがり、もとの厚さの何倍にも膨れあがります。関節腔には関節液がたまり、関節リウマチ特有の「腫れ」が起きるのです。

 

発痛物質による痛み

発痛物質(炎症性サイトカイン、プロスタグランジンなど)もたくさん作られます。滑膜には多くの神経が分布しているので、発痛物質が溶け込んだ関節液に触れ、くり返し刺激されることで「痛み」が起こります。

滑膜には浮腫(むくみ)も起きているため、神経が圧迫されてさらに痛みます。

 

骨破壊

滑膜の炎症が自然に良くなることは少なく、慢性化してしまうと軟骨や骨にまで病変が入り込んでしまします。これが「骨破壊」の状態です。

 

骨は本来、骨を削りとる破骨細胞と骨を造る造骨細胞とがバランスよく働き、骨形成と骨吸収(破壊)を繰り返しながら、新旧を入れ替えることで、”骨の質“を維持しております。しかし、炎症性サイトカインは、破骨細胞だけを活性化してしまうので、形成と吸収のバランスが崩れ、破壊だけが進んでしまうのです。これが、関節、骨の破壊のメカニズムです。

骨破壊が始まる前にリウマチ専門医へ

このように滑膜の炎症によって、関節の「はれ」「痛み」さらに「骨破壊」が起きます。関節リウマチが発病してから1~2年で骨の破壊が始まるといわれています。

関節に違和感を感じたら、「歳のせいだから」「疲れがたまったから」「我慢できなくもないし」・・・などと放置せずに、早めにリウマチ専門医に相談しましょう!