リウマチ因子、抗CCP抗体の見方

リウマチ因子・抗CCP抗体だけで、
診断はできない。

リウマチ因子(RF)と抗CCP抗体(ACPA)は、リウマチ新分類基準にも含まれているリウマチの診断に重要な検査です。

それぞれの感度、特異度を表1.に示します。

表1

診断マーカー 感度 特異度 陽性的中率
リウマチ因子(RF) 77% 98% 97%
抗CCP抗体(ACPA) 79% 76% 75%
MMP-3 62% 30% 45%

 

ともに感度は80%程度であり、発症半年以内では感度50%程度であるため、RF陰性、抗CCP抗体陰性であっても、リウマチの可能性は充分考えられます。そのため、症状(関節腫脹・圧痛・こわばりなど)の経過を追うことが極めて重要であります。

 

つまり、ワンポイントでのRF陰性、抗CCP抗体陰性だけをとって、リウマチを否定することは出来ず、身体所見・炎症反応(CRP、ESR)・関節エコーできちんとチェックすることが大切です。

リウマチ因子・抗CCP抗体
陽性の場合

RF陽性あるいは抗CCP抗体陽性のリウマチでは、陰性の方と比較して関節破壊が進行しやすいことが知られており、ともに予後不良因子と捉えられております。

RF抗体価はリウマチの疾患活動性と相関が認められますが、抗CCP抗体は疾患活動性とは関連がないとされております。

リウマチ因子・抗CCP抗体
陰性の場合

リウマチ因子・抗CCP抗体が陰性であっても、

 

少なくとも1小関節を含む11関節以上の罹患関節がある(5点)

  かつ

6週以上続いている(1点) or  急性相反応物質が陽性(1点)

 

であれば、リウマチと診断可能です。

そのため「RF・ACPAが正常なので、リウマチの心配はありません」ということはありません。

5人に1人は、RF、ACPA正常でリウマチと診断されています。

 

RF、抗CCP抗体は診断にとって重要な検査ですが、それだけでリウマチを診断することは出来ません。それ以上に重要な事は、適切に問診し、腫脹関節数、圧痛関節数をはじめとする身体所見をとり、その他の膠原病、感染症など除外を行うことです。