災害時の薬の服用

普段から災害に対して備えましょう

関節リウマチの方は薬を服用している場合が多いと思いますが、災害などで薬が手元にない場合や医療機関に行けない場合は、どうすればいいでしょうか。災害時の「薬の服用」について注意点や日頃の備えをご紹介します。

薬を急に止めると
症状が悪化する場合も

関節リウマチの治療中には薬剤を服用している場合が多く、災害によって「薬が手元にない」「点滴をうけられない」「あと数日で薬がきれてしまう」・・・といった状態に陥る可能性があります。薬の中には、急に服用を止めてしまうと体調が悪くなったり、症状が悪化する薬があるので、注意しなければいけません。

 

東日本大震災(2011.03.11)の直後、一般社団法人日本リウマチ学会 は、関節リウマチを始めとするリウマチ性疾患あるいは膠原病で治療中の患者さんに向けて下記のお知らせを発表しました。

 

引用

 関節リウマチを始めとするリウマチ性疾患あるいは膠原病で治療中の皆様にお知らせ致します。現在、プレドニン、メドロール、デカドロン、リンデロンなどのステロイド製剤を服用中の患者様は、お薬を中止すると、症状が悪くなる可能性があります。また、長期にステロイド製剤を服用している方が突然お薬を中止すると、身体がだるくなったり、熱がでたり、ひどくなると血圧が下がったりします。このため、ステロイドの中止はしないようにお願いを致します。また、ステロイドは一般の薬局で購買をすることはできず、医師の処方箋が必要なお薬ですので、手元にお薬がない方は、最寄りの災害拠点病院などで処方を受けてください。
 消炎鎮痛薬は、使用するのを中止すると症状が悪くなることはありますが、それほどひどくはなりません。
 抗リウマチ薬(リマチル、アザルフィジン、メトトレキサート、プログラフなど)は、たとえ服用をやめてもすぐに症状が悪くなることはありません。一般には2週間以内に服用を再開すれば、症状が余りひどくなることはありません。
 生物学的製剤は、アクテムラ、オレンシアなどの場合には、点滴の効果は一般には4週間持続します。レミケードの効果は6~8週間持続します。皮下注射のエンブレルの場合は3~7日、ヒュミラは2週間と短めですが、たとえ投与が中断しても急激に症状が悪くなることはありません。

*引用ページ:日本リウマチ学会

 

ステロイド製剤

中止しないこと。

プレドニン、メドロール、デカドロン、リンデロンなどのステロイド製剤を服用中の方は、お薬を中止すると、症状が悪くなる可能性があります。また、長期にステロイド製剤を服用している方が突然お薬を中止すると、体調が悪くなることがあります。そのため、ステロイドは中止しないようにしましょう。

ステロイドは一般の薬局で購買をすることはできません。医師の処方箋が必要なお薬です。手元にお薬がない方は、最寄りの災害拠点病院 などで処方を受けるようにしましょう。

抗リウマチ薬

2週間以内に服用を再開することが望ましい。

リマチル、アザルフィジン、メトトレキサート、プログラフなどの抗リウマチ薬は、たとえ服用をやめてもすぐに症状が悪くなることはありません。一般的には、2週間以内に服用を再開すれば、症状があまりひどくなることはありません。

生物学的製剤

使用している薬によって対応が変わる。

生物学的製剤は、薬によって投与方法や投与間隔が異なります。「薬の種類(名前)」「次に投薬するタイミングはいつか」「医療機関に行く必要があるのか、ご自分で服薬できるのか」を把握しておくと安心です。

 

生物学的製剤一覧・特徴

消炎鎮痛薬(痛み止め)

使用するのを中止すると症状が悪くなることはありますが、それほどひどい状態にはならないでしょう。

使用している薬について
ご自分で説明できますか?

避難時に手元に薬がなくても、安全が確認できるまで家へ薬を取りに帰らないことが大切です。少しの時間だからと、安易に家へ戻るのは大変危険です。
そして災害時は、かかりつけの医療機関を受診することができない可能性もあります。主治医以外の医師の診察も受けられるよう、ご自身の病状や合併症をいつも把握しておくようにしましょう。

お財布・携帯電話にメモを入れておく

急に避難することになった場合でも、お財布と携帯電話は持参している場合が多いと思います。服用しているお薬の説明ができるように、お薬のメモをお財布に入れておいたり、携帯電話のカメラで薬や処方箋の写真を撮っておくと、もしもの時に役立ちます。

お薬手帳は持ち出しやすい場所へ

お薬手帳はすぐに持ち出せる場所に保管し、外出時も持ち歩くことを心がけましょう。手持ちの薬がなくなった場合や服用している薬の名前・種類がわからない場合に、手帳があると薬の処方・入手がスムーズになります。

ご自身が服用しているお薬は、災害時にどんな注意が必要な薬か確認しておきましょう。