オレンシアの特徴

  • T細胞活性化抑制薬
  • 点滴、皮下注射、オートインジェクターが選択可能
  • 投与3回目までは2週間に1回、その後は月1回の点滴(約1時間)。または週に1回の皮下注射。
  • 皮下注射、オートインジェクターは自己注射が可能
  • メトトレキサートとの併用が必須ではない

オレンシアのしくみ

免疫システムの中心的な役割をしているT細胞の働きを抑制することで、TNFαやIL-6など炎症の元となる炎症性サイトカインが過剰に作られるのを防ぎます。

他の生物学的製剤はサイトカイン阻害薬ですが、オレンシアはサイトカインを作り出すT細胞の働きを抑えるため、TNF阻害薬やIL-6受容体阻害薬で効果が不十分な場合にも効果が得られる可能性があります。

オレンシアの使用方法

投与方法が選べる

点滴製剤と皮下注射製剤があり、ライフワークに合わせた投与方法を選択する事が出来ます。

 

点滴;0, 2w, 4wで点滴し、以降4w毎30分の点滴を行います。60kg以下;500mg、60~100kg;750mg、100kg以上;1000mg

 

皮下注射;1週間に1日125mg皮下注射。(負荷投与として、初回に限りオレンシア点滴を行った上で、同日125mg皮下注射を打つことが可能)

メトトレキサート併用必須ではない

リウマトレックス(メトトレキサート)との併用が必須ではありません。

豊富なエビデンス

MTX抵抗性リウマチ(AIM試験)やTNF阻害剤抵抗性リウマチ(ATTAIN試験)

優れた関節症状改善作用、身体機能改善作用を示し、メトトレキサート抵抗性リウマチでは、優れた骨破壊抑制作用が認められております。

MTX抵抗性リウマチに対するオレンシアあるいはレミケードのプラセボ比較試験(ATTEST試験)

1年の時点での効果は、オレンシアとレミケード両群で共にプラセボと比較して、高い効果が示され、さらにDAS28の変化量は、-2.88 vs -2.55でオレンシアの方が改善が見られました。有害事象については、急性投与時反応は、7.1% vs 24.8%、重症感染症についても1.9% vs 8.5%とともにオレンシアの方が有害事象が少ないことが示されました。

MTX併用におけるオレンシアとヒュミラの有効性比較試験(AMPLE試験)

投与開始1年後にオレンシアはヒュミラと同様の有効性を示し、ACR20%、50%、および70%改善率及びX線画像で評価した関節の構造的損傷の防止の12カ月間の推移はオレンシアとヒュミラで全般的に同様の結果であり、オレンシアの関節破壊抑制効果はTNF阻害剤であるヒュミラに匹敵することが示されました。2年目においても同様の結果が示されております。有害事象の発現率は、両群でおおむね同様でありました。

AVERT試験

AVERT試験は、活動性早期リウマチの方を対象とした試験です。
・DAS28-CRP:平均5.4
・平均有症状期間:0.56年

 

①MTX+オレンシア125mg/週の併用療法
②オレンシア125mg/週単独療法
③MTX単独療法
を行い、

12か月時点の寛解(DAS28-CRP<2.6)達成は、
①60.9%
②42.4%
③45.2%
でありました。

 

そして、12か月時点の低疾患活動性(DAS28-CRP<2.6)達成
①70.6%
②56.9%
③62.9%
に対し、薬物療法が迅速に中止され、寛解の持続性が評価されました。

 

中止から6ヶ月間持続的寛解を達成したのは、
①14.8%
②12.4%
③7.8%
でありました。

 

すなわち発症早期であれば、1年間治療を行い、低疾患活動性であれば、行っている治療を中止し、6ヶ月間持続的寛解を達成できるという結果でありました。

この結果を踏まえ、Paul Emery教授は、今後の試験に関して、“短い罹病期間は良好な長期転帰を予測したため、さらに早期に治療することを目指すべきであろう”と提言しています。

オレンシアフリーの可能性

TNF阻害剤、IL-6阻害剤と同様にオレンシアについてもオレンシアフリーについての可能性が示唆されております。

ORION試験

MTX+オレンシア治療にて、DAS28CRP<2.3を達成した方々を、①オレンシア中止群と②オレンシア継続群で割り付け、52週目に観察。

 

結果

・オレンシア中止群①で41.2%寛解を維持、オレンシア継続群②で64.7%寛解を継続

・年間関節破壊進行度は、①0.80、②0.32と有意差を認めず

・52週での構造的寛解達成率は、①64.7%、②70.6%と同等

 

このような素晴らしいオレンシアフリーの可能性が示唆され、TNF阻害剤、IL-6阻害剤を含め、大きく分け3種類の効果的な生物学的製剤を使用できる今、その先にあるドラッグフリーを目指した治療戦略が期待されております。