エンブレルの特徴

  • ヒト由来のたんぱく質で作られている
  • TNF阻害薬
  • 皮下注射
  • 在宅自己注射ができる
  • 週1~2回の投与
  • メトトレキサートと併用しても、しなくても使用できる
  • 妊娠中、妊娠を希望している方にも使用できる

エンブレルのしくみ

エンブレルはTNF阻害薬の一つです。炎症の元となるTNFには、αとβの2種類があり、エンブレルは両方の働きを抑えます。

エンブレル以外のTNF阻害薬は、レミケード(インフリキシマブ)、ヒュミラ(アダリムマブ)、シンポニー(ゴリムマブ)、シムジア(セルトリズマブ)があります。(2018年1月時)

エンブレルの使用方法

皮下注射であり、在宅自己注射が可能

エンブレルは、融合蛋白製剤で、抗体製剤と異なり中和抗体が産生されない免疫原性から、長期にわたって有効性が持続することや、再投与に際しても安全性が高い特徴を持ちます。メトトレキサートの服用は必須ではありませんが、併用すると効果が高まります。

 

投与方法については、1週間に1回50mg皮下注射を行います。有効性が確認され、指導により自己注射が可能な方には、自宅で治療を行って頂けます。薬剤量や回数は効果や状態に応じて調節することができます。

半減期が約4日間と短いということも、月4回注射を行うマイナス面の反面、感冒や肺炎などの際に、早期に血中から喪失するということは安全面においてプラスとして働いています。

妊娠希望の方にも使用できる

メトトレキサートが使えない妊娠中の方にもエンブレルは使用でき、妊娠を希望している人にも適しています。ただし、妊娠中・妊娠希望の方は基本的には薬剤を中止する方法を第一に検討しましょう。

エンブレルに関するエビデンス

TEMPO試験

この試験により、エンブレルの最大の有効性を得るためには、MTXの併用が必要であり、その結果、関節破壊が修復される可能性が示されました。

COMET試験

発症早期の高疾患活動性リウマチに対する治療戦略として、エンブレルを早期から使用する意義が示されました。

PRESERVE試験

エンブレルフリーの可能性が示唆されました。このためには、深い寛解と安定した疾患活動性の制御が重要であります。

PRESERVE試験の詳細

・中疾患活動性のリウマチの方に対して、エンブレル50mg/週+MTXで治療を行い、

・平均年齢:48.4歳

・平均罹病期間:6.9年

 

36週後に低疾患活動性(LDAの達成率86%、寛解達成67%)となった方に、①エンブレル50mg/週+MTX、②エンブレル25mg/週+MTX、③MTX単独(エンブレルフリー)に無作為に割り付けし、52週時点における有用性を検討しております。

 

低疾患活動性の割合

①82.6%

②79.1%

42.6%

 

③は、エンブレルフリーが4割存在することを意味し、関与する因子として深い寛解と安定した疾患活動性制御が重要であることが明らかになりました。

 

TEMPO試験にて、MTX+エンブレル治療を行うと関節破壊を完全に制御でき、修復の可能性も示唆されたエンブレルでありますが、罹病期間が平均7年の方に対してもエンブレルフリーの可能性も示唆されたことにより、エンブレルのより適切な治療戦略が求められております。

エンブレルは発売10年を迎えましたが、適切に使用することにより今でもより一層その存在の重要性は高まっています。