レミケードの特徴

  • 日本ではじめての生物学的製剤
  • 効果が現れるのが早い場合が多い
  • 寛解率が高い
  • TNF阻害薬
  • 点滴製剤
  • 2ヵ月経過後、4~8週に1回の投与となる
  • メトトレキサートとの併用が必須

レミケードのしくみ

レミケードはTNF阻害薬の一つです。炎症の元となるTNFαを抑えるだけでなくTNFαを作り出す細胞を壊す力も持っている抗体製剤です。

レミケード以外のTNF阻害薬は、エンブレル(エタネルセプト)、ヒュミラ(アダリムマブ)、シンポニー(ゴリムマブ)、シムジア(セルトリズマブ)があります。(2018年1月時)

レミケードの使用方法

医療機関で点滴を行う

レミケードは医療機関で点滴してもらう薬です。1回の点滴にかかる時間は約2時間です。点滴は医療従事者がそばにいる安心感があります。

点滴を受ける間隔、投与量が調整できる

レミケードは、通常3mg/kgを1回投与量として点滴静注します。投与間隔は、初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で行われ、2時間の点滴です。その後、30~60分まで投与時間の短縮が可能となっています。

効果が不十分な場合は「点滴の間隔を4週間まで短縮する」「1回の点滴の量を増やす」ことが可能で、効果や状態に応じて調節できます。

メトトレキサートの併用必須

メトトレキサートと必ず併用して使う薬です。

バイオフリー寛解の可能性

リウマチ治療では、MTXをアンカードラッグとしTNF阻害剤を併用することにより、高率な臨床的寛解導入が可能となり、さらに寛解を長期間継続することにより、構造的寛解や機能的寛解も可能となりました。しかし、現実には、高価な生物学的製剤に伴う経済的負担、特定の分子を阻害することによる長期安全性を考慮すると、寛解維持後の生物学的製剤中止の可能性、中止のタイミングを検討することが重要でありました。

BeSt study

レミケードで最も画期的であった臨床試験が、BeSt studyです。これは、発症2年以内の未治療リウマチ治療で、治療開始時よりMTX+IFX治療を行うことによって、2年後に56%がIFX中止可能(バイオフリー寛解)となり、5年後にはMTXも休薬となった薬剤フリー寛解(19%)も含めると58%がバイオフリー寛解を維持可能でありました。この試験の結果によって、リウマチは治癒する可能性がある疾患へと変貌を遂げることとなりました。

BeSt試験の詳細

発症2年以内の未治療のリウマチの方508症例を第1群~第4群で治療

・第1群:DMARD治療

・第2群:step- up併用療法

・第3群:step-down併用療法

・第4群:MTX+レミケード療法

 

この試験で重要なのが、3ヵ月毎に低疾患活動性を達成できなければ、順次治療変更し、逆に6ヶ月以上同じ治療で達成できれば、減量・中止を行う介入試験という特徴をもっています。

 

MTX+レミケードで治療された第4群では、2年後に56%がレミケードを中止(バイオフリー)されており、5年後にはMTXも休薬可能となった薬剤フリー寛解(19%)を含めると58%がバイオフリーを維持出来ていたというものでした。

 

また、5年後の最初に割り当てられた治療のみで寛解を達成できた割合は、

・第1群:51%

・第2群:65%

・第4群:81%

で、寛解を達成した方では、骨破壊の進行が少なく、身体機能の改善が認められました。

  • ※下のイメージは横スクロールでご覧頂けます。

    IFX;インフリキシマブ、レミケード
    MTX;メトトレキサート

RRR試験

産業医科大学第一内科学講座田中良哉教授を中心にRRR試験(トリプルアール)が世界中で脚光を浴びました。それは、BeSt studyと比べ、罹病期間が長く、関節破壊の進んだ方々であっても、IFX休薬後1年間55%の方々が低疾患活動性を維持でき、その67%で構造的寛解を維持しておりました。低疾患活動性を維持するためには、IFX投与時に、出来るだけお若く、罹病期間が短く、関節破壊の程度が軽いことが重要であることが分かりました。早期リウマチでなくてもIFX中止が可能であることが示され、世界中の長い間リウマチで苦しんでいた方々の光となる結果でありました。ただ、可能な限り早期の導入が重要であることも同時に示されております。

エントリー

●MTX+レミケード治療にて、DAS28<3.2(低疾患活動性)を24週以上維持したリウマチの方:114例
●平均年齢:51歳
●平均DAS:5.5(高疾患活動性)
●平均罹病期間:5.9年
●平均TSS:63(関節破壊が進行)

結果

●IFX休薬後1年後55%が、DAS28<3.2(低疾患活動性)を満たし、43%がDAS28<2.6(寛解)を満たしました。
●45%でDAS28の再上昇(>3.2)が認められましたが、大部分でIFXの再開により速やかな疾患制御が得られました。
●低疾患活動性の維持に成功した方々は、1年後に83%で機能的寛解が、67%で構造的寛解が維持されました。
●1年後の低疾患活動性を予測する因子として、休薬時のDAS28値が同定され、その値は、2.22と算出され、タイトコントロールによる深井寛解が重要であることが示されました。

まとめ

疾患活動性の高い方でも、MTXとIFXを用いて低疾患活動性を半年以上維持すれば、IFXを休薬しても寛解が維持できるバイオフリー寛解の可能性が示され、また、発症早期にタイトコントロールにより深い寛解を維持すれば、バイオフリー寛解導入率が上がることが示されました。

 

更には、【RRR試験】は【Best試験】と比べ、発症後時間が経過し、関節破壊が既に起こってしまっている方々も含まれ、早期診断・早期治療が極めて重要であることは言うまでもありませんが、既に時間が経過し、破壊が起こってしまっている方々にとっても光明となる結果でありました。

 

この世界に先駆けてバイオフリー寛解の可能性を検証することを目的として行われたRRR試験にて、田中良哉教授は、第10回欧州リウマチ学会・年次集会(EULAR 2009)では日本人初のEULAR awardを受賞されました。

リウマチ以外の疾患にも使用されている

レミケードは、リウマチ以外にも数多くの難治性疾患の保険適応があります。

  • ベーチェット病による難治性活動性ぶどう膜炎
  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 膿疱性乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 強直性脊椎炎
  • 次のいずれかの状態を示すクローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

    ・中等度から重度の活動期にある方
    ・外瘻を有する方

  • 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)