妊娠週数と薬の影響

妊娠中に薬剤を服用することは、胎児の奇形や発育に問題が出るのでは?と抵抗を感じる方が多いかと思います。この記事では、妊娠中の薬剤の影響について、妊娠週数を軸に解説いたします。

妊娠3週まで

All or Noneの法則

妊娠2週(受精の時期)から妊娠3週は「All or None」の時期といわれています。これは、この時期に胎児に影響する可能性のある薬を使用して何らか胎児に影響があった場合、受精卵は着床しないか、流産にいたります。

妊娠反応は通常、受精後約2週間で陽性となるため、生理予定日の頃に妊娠反応を確認し、陽性であった場合に薬の服用を中止すれば、その薬剤の影響は最小限に抑えることができます。ただし、残留性のある薬剤の場合は注意が必要になります。

妊娠4~15週

薬の影響を受けやすい時期

妊娠4~7週は、神経・心臓・消化器官・手足など重要な臓器がつくられる時期で、奇形を起こすかどうかという意味では最も過敏性が高い“絶対過敏期”と呼ばれる時期です。妊娠8週以降になると、薬剤に対する過敏性は低下していきますが、外性器の分化や口蓋の閉鎖が起こる時期ではあるため、薬剤の服用は慎重に考えます。

妊娠16週~出産

胎児毒性に注意する時期

この時期になると、奇形の心配は減りますが、胎児毒性(薬によって胎児の発育や機能に悪影響が及ぶこと)が問題になります。関節リウマチの薬を服用する場合は、胎盤通過性が低い薬を使用することになります。

薬の服用を恐れて、母体の全身状態が悪化すれば、かえって胎児の発育環境も悪くなる場合もあります。薬の使用はベネフィットとリスクの両方を理解し、ベネフィットが勝る場合は必要最低限で使用していくようにします。

寛解状態での妊娠が望ましい

妊娠中に薬の不安をもたないためにも、関節リウマチ患者さんの妊娠は、寛解状態での計画妊娠が最も望ましいです。妊娠・出産を希望している方は、早めに医師に妊娠・出産希望の旨を伝え、関節リウマチの治療と妊娠・出産の計画を並行して進めましょう。

もし妊娠中に薬の服用が必要になった場合は、不安になって当然です。疑問や不安は、医師や看護師、薬剤師に相談することが大切!