COX-2選択的阻害剤【セレコックス】①
2015年06月17日 治療戦略
MTX、生物学的製剤などによる寛解を目指した治療を行うのが当然重要でありますが、リウマチに伴う疼痛、腫脹を軽減する目的で一時的に使用される非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)は疾患活動性の高いリウマチの初期治療において大切であります。
NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性化を阻害することによりプロスタグランジン(PG)産生を抑制し抗炎症効果を発揮します。
COXには、COX-1、COX-2の2種類存在し、COX-1はほとんどの臓器に存在し、胃粘膜、血管内皮などの臓器保護作用を持つPG産生に関与し、COX-2は、通常存在せず、炎症組織にのみ誘導されます。
従来のNSAIDsは、COX-1、COX-2の両方を阻害してしまうため、COX-1阻害による胃粘膜血流低下、粘膜防護機能低下による消化管潰瘍、出血の副作用が問題となっておりました。
また、リウマチでは、滑膜に浸潤した炎症性細胞により産生されたTNF、IL-1などによるサイトカインがCOX-2を誘導し、PGE2を産生し、破骨細胞の分化・成熟を誘導し、成熟した破骨細胞が骨破壊を惹起すると考えられています。さらに、リウマチの方の滑膜では、COX-2の発現が増強し、滑膜細胞のアポトーシスを抑制し、滑膜増殖を誘導し、慢性破壊性炎症に深く関わっていることが知られています。
現在、COX-2のみを選択的に阻害する理想的なNSAIDsである選択的COX-2阻害剤【セレコックス】が、リウマチの方に対し内服可能となっております。
セレコックスは、リウマチの滑膜細胞にアポトーシスを誘導し、細胞増殖を抑制する作用が知られ、疼痛コントロールのみならず、抗リウマチ作用も期待されています。
リウマチの方に対する疼痛軽減を目的としたNSAIDs投与は、現在では、COX-2選択的阻害剤であるセレコックスが使用可能となっており、MTX、生物学的製剤などによる治療効果が現れれば、減量~中止を目指して行けるものとなっております。