筑波で発見されたマクロライド系免疫抑制剤【タクロリムス】①
2015年06月12日 治療戦略
・タクロリムス(Tacrolimus)の名は、筑波で発見されたマクロライド系免疫抑制剤(Tsukuba macrolide immunosuppressant)というところから命名されいます。筑波山の土壌細菌(ストレプトマイセス・ツクバエンシス)より分離され、23員環マクロライド・マクロラクタム構造を持ちます。
・タクロリムスは細胞内でまずFKBP (FK506 binding protein) と複合体を形成し、これがさらにカルシニューリンに結合します。そしてそのNFAT脱リン酸化反応を阻害することにより、IL-2に代表される種々のサイトカインの発現を抑制します。これにより、細胞傷害性T細胞の分化増殖を抑制、細胞性免疫・体液性免疫の両方を抑制することが作用機序とされています。
・リウマチでは、最大3mgまで内服可能です。
・通常の抗リウマチ薬と作用機序が異なるため、MTXを含む他の抗リウマチ薬効果不十分例に対しても効果が期待できます。
・高齢者対象試験を行っており、有効性と安全性が検証されております。
【副作用】
・腎機能障害 (血清クレアチニン値上昇など)
・高血糖
・高血圧
・消化器症状(悪心・嘔吐・食思不振など)
・免疫抑制による日和見感染など。
ただ、血中濃度を測定でき、内服12時間後の血中濃度を測定することによって副作用を防ぐことが出来ます。
MTXをはじめとする抗リウマチ薬や生物学的製剤と作用機序が異なるため併用可能で、リウマチ治療において重要な薬剤と位置付けられております。