目標達成に向けた治療【Treat to target(T2T)】①
2015年06月06日 治療戦略
Treat to target(T2T)は、【目標達成に向けた治療】と訳せます。
これは全世界から招集された60名の委員(日本からは慶応義塾大学 竹内勤教授)で構成されたT2Tコンセンサスグループにより、4項目の【基本的な考え方】と10項目の【リコメンデーション】で決定されました。
【基本的な考え方】には、リウマチ治療は短期的および長期的な目標があること、患者と医師のshared decisionであることが明記され、【リコメンデーション】では、総合的疾患活動性指標を用いて適切な間隔で治療法を見直し、早期に寛解あるいは低疾患活動性を達成することを推奨しております。さらに、いったん達成された目標は、その後も維持することが重要であることが治療アルゴニズムでも強調されております。
現在のリウマチ診療は、早期診断基準、疾患活動性指標、有効な治療薬が整備され、早期診断・早期治療の重要性は疑いのない所です。この現状を提供する上で、T2Tは重要でありますが、日本ではいまだ「治療は先生にお任せします」という態度の方が少なくない状況です。患者さんお一人お一人に、リウマチに関する正しい知識、治療薬についての有効性・副作用、そして明確な治療目標をお持ち頂き、それに向けて一緒に診療方針を創り出していくことが、リウマチ診療の新たなかたちであります。