リウマチと骨粗しょう症①
2015年06月06日 合併症
以前よりリウマチは骨粗しょう症合併率が高いことが知られております。
骨粗しょう症は、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、わずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。女性で圧倒的に多く、男性の3倍と言われています。
リウマチにおける骨粗しょう症は、発症早期に生じる傍関節性骨粗しょう症と全身の骨粗しょう症が併存する複雑な病態を呈します。傍関節性骨粗しょう症は、発症早期より軟骨下の海綿骨量の低下という形で顕在化しますが、必ずしも骨萎縮は炎症関節に限局したものではありません。
傍関節性骨粗しょう症の原因は、炎症性サイトカインによる骨吸収の促進および骨形成の抑制、ステロイド投与、疼痛による運動負荷の減少が考えられております。全身の骨粗しょう症についても炎症、ステロイド投与、不動などが関与していると考えられまた、リウマチの方は、ビタミンDが不足していることもその原因と考えられております。
リウマチでは、骨折のリスクが罹患してない方と比べ1.5倍高く、なかでも、大腿骨近位部骨折(相対危険度2.0)、椎体骨折(同2.4)のリスクが高く、大腿骨近位部骨折の発生に影響する危険因子として、10年以上のリウマチ罹患歴、BMI低値、ステロイド内服が挙げられております。
リウマチも骨粗しょう症も、女性に多く、リウマチ治療を行っていく上で骨粗しょう症の合併の有無をチェックすることは極めて重要であります。骨密度(レントゲン)、骨吸収マーカー(血液検査)、骨形成マーカー(血液検査)などを組み合わせ、必要があれば生活指導や薬物治療を適切に行い、骨折→ADL低下を防ぐことは、リウマチの根本治療と同じくらい大切です。