早期リウマチへのアクテムラ単独治療あるいはMTX併用治療は、MTX単独治療より寛解維持は2倍となる【U-Act-Early試験;Lancet誌】
2016年08月13日 治療戦略
新たに関節リウマチ(RA)と診断された方は、メトトレキサート(MTX)併用の有無を問わず、ただちにアクテムラの投与を開始し寛解維持を目指す治療戦略は、より効果的であることが示されました。安全性プロファイルも現在の標準治療であるMTXと類似しておりました。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのJohannes W J Bijilsma氏らが、アクテムラの単独またはMTXとの併用療法の有効性と安全性を、MTX単独療法と比較したU-Act-Early試験の結果をLancet誌に報告しました。早期RAの方にとって、治療の目標は速やかな持続的寛解を得ることでありますが、目標達成に向けた治療戦略の検討はこれまでなされておりませんでした。
トシリズマブの単独またはMTX併用療法とMTX単独療法の寛解維持達成を比較
U-Act-Early試験は、MTXとの併用または単独でのアクテムラの有効性と安全性を、MTX単独療法と比較する、2年間の多施設共同無作為化二重盲検比較試験。【オランダのリウマチ外来21施設で実施】
対象は、1年以内にRAと診断され、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の治療歴がなく、疾患活動性スコア(DAS28)が最低2.6の18歳以上の方。
被験者は、アクテムラ+MTX(併用)群、アクテムラ+プラセボ(アクテムラ)群、プラセボ+MTX(MTX)群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。アクテムラは4週ごとに8mg/kg(最大800mg)静脈投与、MTXは10mg/週経口投与より開始し、4週ごとに5mgずつ、最大30mg/週まで増量し、寛解または用量制限毒性が現れるまで継続した。割り付けた治療で寛解に至らない場合は、プラセボは実薬に、併用群は標準治療(MTX+TNF阻害薬併用)に変更した。
主要評価項目は、寛解維持(腫脹関節数≦4かつDAS28<2.6が最低24週持続)を得られた患者の割合であった。
寛解維持達成はトシリズマブ単独84%、併用86%、MTX単独44%
2010年1月13日~2012年7月30日に適格とされた患者317例が登録された(併用群106例、アクテムラ群103例、MTX群108例)。試験を完了した患者の割合は72~78%で、3群間で類似していた。中途脱落理由で最も多かったのは、有害事象または他疾患を併発27例(34%)、効果不十分26例(33%)であった。
最初の割り付け治療での寛解維持達成は、併用群91例(86%)、アクテムラ群86例(84%)、MTX群48例(44%)で得られた。相対リスクは、併用群 vs.MTX群が2.00(95%信頼区間[CI]:1.59~2.51、p<0.0001)、アクテムラ群 vs.MTX群1.86(同:1.48~2.32、p<0.0001)であった。
また、全治療における寛解維持達成は、併用群91例(86%)、アクテムラ群91例(88%)、MTX群83例(77%)であった。相対リスクは、併用群 vs.MTX群1.13(95%CI:1.00~1.29、p=0.06)、アクテムラ群 vs.MTX群1.14(同:1.01~1.29、p=0.356)、併用群 vs.アクテムラ群p=0.59であった。
全体で最も発現頻度の高い有害事象は鼻咽頭炎で、併用群38例(36%)、アクテムラ群40例(39%)、MTX群37例(34%)であった。重篤な有害事象の発症に治療群間で差はなく(併用群17例[16%] vs.アクテムラ群19例[18%]、MTX群13例[12%])、試験期間中に死亡例の報告はなかった。