リウマチ因子(RF)陰性、抗CCP抗体(ACPA)陰性リウマチこそ、【治療成功の治療機会の窓】がある!!

2015年07月19日 治療戦略

リウマチ因子(RF)陽性、抗CCP抗体(ACPA)陽性は、リウマチの予後不良因子の1つであり、陽性であれば積極的治療が望まれる根拠となっております。また、陽性であれば、リウマチという診断に医師も患者さんも安心できると思います。

 

リウマチの20%はRF陰性、ACPA陰性ですが、実際多発関節炎があるのにもかかわらず、RF陰性、ACPA陰性という結果を患者さんが聞くと、”これでも私はリウマチなのでしょうか?”とよくご質問を頂きます。エコーでも、活動性の滑膜炎があり、リウマチで間違いない状況であっても、患者さんはRF陰性、ACPA陰性であると様子を見たいとおっしゃられます。

 

RF陰性、ACPA陰性リウマチで、様子を見ながらゆっくり治療を行うという治療戦略はあります。しかし、その経過によって、少なからず関節破壊が起こってしまっては、取り返しがつきません。

 

RF陰性、ACPA陰性のリウマチであっても、その治療開始時期・治療目標について、ゆっくりで緩やかでよいということはありません!!

 

実際、血清反応陰性リウマチの予後について取り組んだ研究の結果(Barra L, et al. J Rheumatol. 2014;41(12):2361-9.Prognosis of seronegative patients in a large prospective cohort of patients with early inflammatory arthritis.)は、この関節炎の病型は重篤であり、過小評価すべきでないことを示しております。

 

さらに、症状出現から期間の短いACPA陰性リウマチでは、より優れた転帰が得られる可能性があり、実際に達成されており、

(Wevers-de Boer K, et al. Ann Rheum Dis. 2012;71(9):1472-7. Remission induction therapy with methotrexate and prednisone in patients with early rheumatoid and undifferentiated arthritis (the IMPROVED study).)この結果は、血清反応陰性リウマチが疾患の初期段階で同定された場合には【治療成功の治療機会の窓】があることを示唆しております。

 

すなわち、RF陰性、ACPA陰性だからといって、リウマチと診断されれば、いたずらに不要な経過観察時期を待つことなく適切な治療を行うことが、寛解→治癒への近道であると考えられます。RF陰性、ACPA陰性で最も重要なことは、きちんとリウマチであるかそうでないかを見極める事です。