構造的寛解って?

2015年05月21日 寛解

リウマチがリウマチたる由縁は、関節が腫れて痛いだけでなく、関節が破壊され、変形していってしまうからであります。 ではその関節破壊の【程度】・【進行】を定量的に評価していく検査がレントゲンとなります。 その時点での【程度】は、Steinbrockerによるstage分類が用いられます。(Steinbrockerら, 1949)

 

Stage Ⅰ(初期) Stage Ⅱ(中等期) Stage Ⅲ(高度) Stage Ⅳ(末期)
*X線写真上に骨破壊像はない X線学的骨萎縮はあっても良い *X線学的に軽度の軟骨下骨の破壊(骨びらん)を伴う.あるいは伴わない骨萎縮がある.軽度の軟骨破壊はあっても良い *骨萎縮の他にX線学的に軟骨及び骨の破壊(骨びらん)がある. *線維性あるいは骨性強直がある. それ以外はStageⅢの基準を満たす.
*関節運動は制限されても良いが,関節変形はない. *亜脱臼尺側変位,あるいは過伸展のような関節変形がある.線維性あるいは骨性強直を伴わない.
関節周辺の筋萎縮がある. 強度の筋萎縮がある.
結節及び腱鞘炎のごとき関節外軟組織の病変はあっても良い. 結節及び腱鞘炎のような関節外軟組織の病変はあっても良い.

*印のある基準項目は,特にその病気あるいは進行度に患者を分類するためには必ずなければならない項目である.

 

一方で、1年間での関節破壊の進行】は、modified Total Sharp Score(mTSS)を用いて評価します。(van der Heijde DMら、1989) これは、手と足のびらん(Erosion)関節裂隙狭小化(Joint space narrowing: JSN)を点数化するスコアです。手の関節数(Erosion:16関節、JSN:15関節)、足の関節数(Erosion:6関節、JSN:6関節)で、全ての関節の合計点数をその患者のTotal Sharpスコア(総 Sharpスコア)とします。手の最大点数は280点(Erosion:160点、JSN:120点)、足の最大点数は168点(Erosion:120点、JSN:48点)であり、Total Sharp スコアの最大点数は448点となります。

 

ここで、関節破壊が抑止された状態である構造的寛解】とは、年間mTSS増加量(⊿mTSS)≦0.5を言います。 臨床的寛解を達成・維持した結果が、構造的寛解に繋がるものであり、きちんと診察ごとの客観的活動性指標(DAS28、SDAI、CDAI)を把握していくことが、最も大切であります。