新たな低分子標的薬【baricitinib;バリシチニブ】
2016年05月11日 新しい治療法
リウマチ治療において、JAK(Janus kinase)阻害薬は内服薬でありながら生物学的製剤と類似した治療効果がみられています。
2013年本邦においてMTX治療抵抗性リウマチの方に対して、tofacitinib(ゼルヤンツ)が保険収載されています。
今後も日本で多くのJAK阻害薬が保険収載されていくことが考えられておりますが、
なかでもbaricitinib;バリシチニブがその治療効果より注目されています。
2015年米国リウマチ学会でその治験結果が報告されましたが、
バリシチニブ単独治療は、リウマチ治療のアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)単独治療よりも勝る治療効果を示しました。(RA-BEGIN試験)
リウマチ治療における抗リウマチ薬の中で、MTX単独治療に勝る治療薬はほとんどなく、これまでアクテムラおよびゼルヤンツだけでした。バリシチニブが3剤目となりました。多くの抗リウマチ薬は、MTX併用により治療効果が増大するのに対し、バリシチニブはMTX併用の効果は見られませんでした。
さらには、MTX治療抵抗性であったリウマチの方に対して、バリシチニブまたは代表的TNF阻害薬であるヒュミラを追加した試験において(RA-BEAM試験)、バリシチニブはヒュミラに勝る治療効果を示しました。このことは、生物学的製剤に勝る治療効果を示す抗リウマチ薬が初めて登場したことを意味します。
今後、新たな治療戦略の重要な抗リウマチ薬になっていくことが想像され、皆さんの希望の翼となって頂きたいと考えています。