完全ヒト型2週間隔投与の生物学的製剤【ヒュミラ】①

2015年05月27日 新しい治療法

2008年4月私が産業医大第一内科に国内留学に行くと同時に使用可能となったのがヒュミラ(adalimumab;ADA)です。私にとって思い出の深い製剤であります。  

 

ヒュミラの特徴は、完全ヒト型抗体製剤です。完全ヒト由来であり、生体適合性が高いとされ、キメラ型抗体で懸念される重篤なアナフィラキシー症状の発現が少ないとされております。  

 

投与方法は、2週間毎に40mg皮下注射を行い、半減期は約14日間です。月に2回の皮下注射で良いため、万が一自己注射が困難な方が投与継続する場合、月2回の通院ですみますが、週1日製剤であると月4回も通院しなければならず、通院負担増を強いられてしまいます。当然自己注射としても月4回より2回の方が、負担は少ないです。  

 

【PREMIER試験】

ヒュミラは、ヒュミラ単独、MTX単独と比べ、MTXと併用にて優れた有効性を示し、ヒュミラを導入するまでの期間が治療予後に影響することが示されました。(導入が早ければ早い程、完全寛解の可能性が高くなる)  

 

【HARMONY試験】

これまで様々な治療歴を行われた進行期リウマチに対しても、優れた臨床効果に加え、関節破壊抑制効果が示されました。  

 

【OPTIMA試験】

MTX投与歴のない超早期リウマチで、MTX+ヒュミラ治療を開始し低疾患活動性を維持すれば、ヒュミラを休薬してもその後1年間はMTX+ヒュミラと同等の効果を維持でき、ヒュミラフリーの可能性が示唆されました。  

 

産業医科大学第一内科学講座(田中良哉教授)からもヒュミラフリーの報告がなされ、OPTIMA試験のような超早期リウマチでなくても(罹病期間;7年)ヒュミラフリーを達成できる可能性が示唆されております。  

 

注意点;抗アダリムマブ抗体(anti-adalimumab antibody;AAA)は、アダリムマブ(ヒュミラ)に対する中和抗体であり、血清アダリムマブ濃度を低下させるため、薬剤の有効性を減弱させる可能性があります。AAAの発現は、重篤な感染症の発生には関与しませんが、投与部位反応はAAA陽性群で効率にみられます。MTX併用にて、AAAが低下することが知られており、ヒュミラはMTX併用にて最大の効果発現が得られ、副作用軽減にもつながる薬剤です。  

 

ヒュミラは、リウマチ以外にも多くの難治性疾患に保険適応があり、適正使用によって多くの方々の光明となる薬剤です。

①尋常性乾癬

②関節症性乾癬

③強直性脊椎炎

④多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎

⑤腸管型ベーチェット病

⑥中等症又は重症の活動期にあるクローン病の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

⑦中等症又は重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)