初の生物学的皮下注射製剤【エンブレル】①

2015年05月27日 新しい治療法

米国では1998年、欧州では2000年に生物学的製剤の中では最も早期に認可され、長期治療成績もも豊富に蓄積されてきた歴史の最も長い生物学的製剤が、エンブレル(etanercept;ETN)です。

 

エンブレルは、融合蛋白製剤で、抗体製剤と異なり中和抗体が産生されない免疫原性から、長期にわたって有効性が持続することや、再投与に際しても安全性が高い特徴を持ちます。

 

投与方法については、1週間に1回50mg皮下注射を行います。有効性が確認され、指導により自己注射が可能な方には、自宅で治療を行tって頂けます。半減期が約4日間と短いということも、月4回注射を行うマイナス面の反面、感冒や肺炎などの際に、早期に血中から喪失するということは安全面においてプラスとして働いています。

 

エンブレルには、これまで数多くのエビデンスの構築がありますので、特徴的な臨床試験を紹介します。

 

【TEMPO試験】
この試験により、エンブレルの最大の有効性を得るためには、MTXの併用が必要であり、その結果、関節破壊が修復される可能性が示されました。

 

【COMET試験】
発症早期の高疾患活動性リウマチに対する治療戦略として、エンブレルを早期から使用する意が示されました。

 

【PRESERVE試験】
エンブレルフリーの可能性が示唆されました。このためには、深い寛解と安定した疾患活動性の制御が重要であります。

 

エンブレルは発売10年を迎えましたが、適切に使用することにより今でもより一層その存在の重要性は高まっています。