ご自身の経過を紡いでいく、ご本人にとって有益な診療情報提供書
2015年06月29日 より良い医療機関になるために
リウマチや膠原病をはじめとして、経過の長い、さまざまな医療機関を受診することが多くなりがちな疾病は多くあると思います。
私が患者さんよりよくご相談を頂くことは、「紹介状がなくても診て頂けますか?」という内容です。
日本の方の気質として、通院している医療機関を遠いや先生と合わないなどさまざまな理由で変えたい場合、「先生に申し訳ない」、「こわくて言い出せない」などにより、これまでの診療経過、治療内容や検査結果を持たずに変えられることが多いように思われます。
私は、大学病院で勤務している時も総合病院で勤務している時も現在も、「医療機関を変えたい場合は、遠慮なくお申し付けください」「診療情報提供書は、患者さんご本人にとってきわめて有益で、これまでの経過を次の先生にバトンを渡す意味で私には記載する責務があります」「今は、お医者様の時代ではありません、医者も医療機関も患者さんが希望し選択する・できる権利があります」とお話ししております。
私は、「紹介状がなくても診て頂けますか?」という方に対して、「なくても患者さんから伺う内容のみをもとに拝見することは可能ですが、診療情報提供書があった方が、患者さんご本人にとって有益であります」とお答えしております。
そもそも診療とは、医者のためにあるものでなく、患者さんご本人のお体が一番大切でありますので、「医者の医者による医者のための医療」でなく、「患者さん中心の医者と協調した患者さんのための医療」として考えると、医療機関を変えたい際に「先生に申し訳ない」、「こわくて言い出せない」などは患者さんが重きを置くべき感情ではないと考えています。
今、息子さんが医学部に通ってらっしゃるお若い女性の患者さんがいらっしゃいます。将来息子さんがリウマチ内科を専攻され、息子さんへ当院での診療内容を記載した診療情報提供書をお書きできればと思い、お母さまを良い状態でバトンを渡せればと診療に励んでおります。
医者に必要以上の気を使う必要はなく、人間としての最低限の礼節があれば、よい医師・患者さん関係は築けるものと思います。ご自身のお体を第一に考え、通院して頂ければと願います。