IL-6が過剰産生されさまざまな症状を呈する【キャッスルマン病】
2015年07月25日 リウマチ性疾患
キャッスルマン病とは?
キャッスルマン病は、1956年にベンジャミン・キャッスルマン博士らによって報告された疾患で、血液学的にはリンパ増殖性疾患に分類されます。さらに、キャッスルマン病は、身体の一部のリンパ節が腫脹する限局型と、全身のリンパ節が腫脹して発熱や肝脾腫を伴う多発型があります。キャッスルマン病では、リンパ節、肝臓、脾臓でBリンパ球が増殖すると同時にそのリンパ球からインターロイキン-6(IL-6)という蛋白質が過剰に分泌されさまざまな症状を呈します。
症状
限局型のほとんどは無症状ですが、多発型では何らかの症状を伴うことが一般的です。
増殖したリンパ球から分泌されるIL-6は様々な炎症に関与しているため、過剰な分泌により、発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、発疹などの症状や、貧血、CRP上昇、低アルブミン血症、高ガンマグロブリン血症などの検査値異常が引き起こされます。肝臓や脾臓が腫大することがあるほか、肺や腎臓の機能が低下することによって咳、息切れ、むくみなどの症状がでることもあります。症状の進行の速さはさまざまで、週~月単位で急速に進行するものから、年単位で経過する場合もあります。
診断
キャッスルマン病の確定診断は、主にリンパ節生検(病理組織検査)によって行われます。上記のような症状、検査値異常からキャッスルマン病を疑う場合には、腫大したリンパ節や病変のある組織(肺、皮膚等)の一部を切除し、顕微鏡的な所見から診断を行います。また、キャッスルマン病で過剰分泌されるIL-6値を測定することにより、診断の補助とすることもあります。
治療
限局型は腫大しているリンパ節を切除することで完治します。多発型は、副腎皮質ステロイドによって治療されていましたが、現在では、IL-6の作用を選択的に抑制するアクテムラによる治療が行われるようになりました。アクテムラを継続投与することにより、上記症状の著しい改善が期待できます。