初の生物学的皮下注射製剤【エンブレル】②エンブレルフリーの可能性【PRESERVED試験】

2015年06月08日 新しい治療法

エンブレルは、2005年に本邦で2番目にリウマチに保険収載された生物学的製剤です。可溶性TNF受容体Ig融合蛋白であり、抗体製剤と異なる作用機序で作用します。   融合蛋白製剤であるエンブレルフリーの可能性を示唆したPRESERVED試験について解説いたします。  

 

【PRESERVED試験】

・中疾患活動性のリウマチの方に対して、エンブレル50mg/週+MTXで治療を行い、

・平均年齢48.4歳

・平均罹病期間6.9年  

 

36週後に低疾患活動性(LDAの達成率86%、寛解達成67%)となった方に、

①エンブレル50mg/週+MTX、②エンブレル25mg/週+MTX、③MTX単独(エンブレルフリー)に無作為に割り付けし、52週時点における有用性を検討しております。

 

低疾患活動性の割合; ①82.6% ②79.1% ③42.6% 

 

③は、エンブレルフリーが4割存在することを意味し、関与する因子として深い寛解安定した疾患活動性制御が重要であることが明らかになりました。

 

TEMPO試験にて、MTX+エンブレル治療を行うと関節破壊を完全に制御でき、修復の可能性も示唆されたエンブレルでありますが、罹病期間が平均7年の方に対してもエンブレルフリーの可能性も示唆されたことにより、エンブレルのより適切な治療戦略が求められております。