新規分子標的低分子化合物【ゼルヤンツ】①

2015年05月31日 新しい治療法

生物学的製剤の登場は、リウマチ診療にパラダイムシフトをもたらしましたが、その一方で、高額である点や点滴・皮下注射製剤しかない点など、高分子化合物である生物学的製剤の次世代の治療薬が望まれておりました。  

 

このような背景の中、生物学的製剤に匹敵する治療効果を持ちながら内服可能なリウマチに対する新規の分子標的治療薬として、ゼルヤンツが2013年に本邦で承認されました。  

ゼルヤンツはサイトカインの細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすJAK(ヤヌスキナーゼ)と呼ばれるキナーゼ蛋白を標的とした低分子化合物です。そのため、JAK阻害剤とも呼ばれます。  

 

生物学的製剤と同等の効果を経口薬剤として初めて実現した薬剤です。

 

MTXに効果不十分なリウマチの方を対象とした臨床試験では臨床指標の改善と関節破壊抑制効果が示されています。【ORAL Scan試験】   ・原則として、十分量のMTXによるに効果不十分な方への投与が考慮されます。 

 

生物学的製剤と同様に、B型肝炎や結核を含めた感染症に注意する必要があります。また、国際共同試験において、日本人では帯状疱疹の発現率がやや高い傾向が見られたこと、投与中に悪性リンパ腫、固形がんの発現が見られたことがありますが、ゼルヤンツとの因果関係は明らかではありません。   ・低分子化合物は、値段が安いことが期待されておりましたが、生物学的製剤と同程度です。  

 

値段が生物学的製剤と同等であり、日々の内服治療は規則正しい服薬に依存するため、ゼルヤンツのベスト使用方法が今後さらに確立されていくものと思います。