T細胞の活性化を抑制する世界初の生物学的製剤【オレンシア】①

2015年05月29日 新しい治療法

従来のTNFやIL-6などのサイトカインをターゲットにした薬剤と作用機序が異なり、抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害することでT細胞の活性化を調節し、下流の炎症性サイトカインやメディエーターの産生を抑制する生物学的製剤が、オレンシア(abatacept;ABT)です。

 

【投与方法】

点滴製剤と皮下注射製剤があり、ライフワークに合わせた投与方法を選択する事が出来ます。

・点滴;0, 2w, 4wで点滴し、以降4w毎30分の点滴を行います。60kg以下;500mg、60~100kg;750mg、100kg以上;1000mg

・皮下注射;1週間に1日125mg皮下注射。(負荷投与として、初回に限りオレンシア点滴を行った上で、同日125mg皮下注射を打つことが可能)  

 

【特徴】

MTX抵抗性リウマチ(AIM試験)TNF阻害剤抵抗性リウマチ(ATTAIN試験)において、優れた関節症状改善作用、身体機能改善作用を示し、MTX抵抗性リウマチでは、優れた骨破壊抑制作用が認められております。  

 

MTX抵抗性リウマチに対するオレンシアあるいはレミケードのプラセボ比較試験(ATTEST試験)では、1年の時点での効果は、オレンシアとレミケード両群で共にプラセボと比較して、高い効果が示され、さらにDAS28の変化量は、-2.88 vs -2.55でオレンシアの方が改善が見られました。有害事象については、急性投与時反応は、7.1% vs 24.8%重症感染症についても1.9% vs 8.5%とともにオレンシアの方が有害事象が少ないことが示されました。  

 

MTX併用におけるオレンシアとヒュミラの有効性比較試験(AMPLE試験)では、投与開始1年後にオレンシアはヒュミラと同様の有効性を示し、ACR20%、50%、および70%改善率及びX線画像で評価した関節の構造的損傷の防止の12カ月間の推移はオレンシアとヒュミラで全般的に同様の結果であり、オレンシアの関節破壊抑制効果はTNF阻害剤であるヒュミラに匹敵することが示されました。2年目においても同様の結果が示されております。有害事象の発現率は、両群でおおむね同様でありました。  

 

・中和抗体の産生が見られないことから薬剤無効例が少なく、安定して効果を維持できます。  

 

・オレンシアについても、(ORION試験)寛解達成後3割が臨床的寛解を維持し、5割が骨破壊の進行を認めないことが示され、オレンシアフリーについての可能性が研究されております。  

 

大きく分け、TNF阻害、IL-6阻害、T細胞活性抑制と3つのいわば特効薬ともいうべき生物学的製剤を使用可能な現状となり、リウマチで苦しむ方々の光明となっているのと同時に、適切に疾患活動性評価をし、適切な治療効果判定していく重要性が求められております。