リウマチ治療のアンカードラッグである【メトトレキサート(MTX)】①

2015年05月24日 新しい治療法

メトトレキサート(MTX)は、欧米では第一選択薬となっているリウマチ治療の標準的治療薬であります。短期的にも長期的にも高い有効性が期待でき、また抗リウマチ薬の中で最も耐用性の高い薬剤です。(継続できる薬)関節破壊を遅延でき、生命予後を改善できることが確認されている唯一の抗リウマチ薬です。  

 

MTX単剤でも高い有効性が期待でき、さらに他の抗リウマチ薬との併用で効果が高まり、またTNF阻害剤をはじめとする生物学的製剤との併用で驚くべき高い有効性が証明されており、リウマチ治療における【アンカードラッグ】(キーとなる薬)と考えられております。  

 

基本的にMTXを使用できない状況(既に肺にリウマチ病変がある、腎機能障害、妊娠希望)以外は、リウマチ治療の第一選択として用いられるべき薬剤です。効果発現は、早ければ2週間、遅くても4~8週間でみられます。少量で副作用を確認した後、速やかに、遅くとも2か月以内には必要量まで増量します。  

 

副作用としては、用量依存的な口内炎、肝障害、骨髄抑制と用量非依存的な(アレルギー性)薬剤性肺障害に注意します。また、感染症にも注意です。気にしすぎる必要はありませんが、日々の体調(発熱、咳、体調不良)を気にかけて頂き、お変わりがあれば早めに主治医に相談頂く事で、大事に至ることなく、MTXを慎重に継続し続けることが、最も耐用性が高いことに繋がっております。  

 

【投与方法】

欧米では、0.3mg/kgの週1回投与が一般的で、当院でも 週1回朝食後に全量を1回で内服し、MTX最終投与後48時間後に葉酸(フォリアミン)5mg服用します。  

例)メトトレキサート(2)8錠 1日1回朝食後 毎週木曜日のみ フォリアミン(5)1錠  1日1回朝食後 毎週土曜日のみ  

 

***MTXと悪性リンパ腫の関連ですが、MTXを服用していると悪性リンパ腫が増加する可能性が言われておりますが、リウマチがきちんとコントロールされないと悪性リンパ腫の発症率が上昇する事が分かっておりますので、アンカードラッグであるMTXでリウマチを適切にコントロールする事が重要であります。