関節リウマチ新分類基準
2015年05月18日 診断基準
リウマチを診断するのに、これまで長い間1987年に作成された診断基準が使用されておりました。しかし、この診断基準では、発症早期のリウマチを診断することは困難でありました。当時、リウマチの進行を食い止める有効な治療法はなく、発症早期に診断する必要性に乏しかったことが理由として挙げられます。メトトレキサート(MTX)およびTNF阻害薬を始めとする生物学的製剤の登場により、リウマチは関節破壊が起こる前のより早期に診断する重要性に迫られ、2010年にリウマチの新分類基準が新たに発表されました。この分類基準によって発症早期のリウマチを適切に診断し、適切な治療を行うことによって、寛解、その先の治癒を目指せる病に変貌を遂げることなったのです!!
関節リウマチ(RA)新分類基準
腫脹又は圧痛関節数(0–5点) | |
1個の中~大関節** | 0 |
2–10個の中~大関節** | 1 |
1–3個の小関節* | 2 |
4–10個の小関節* | 3 |
11関節以上(少なくとも1つは小関節*) | 5 |
血清学的検査(0–3点) | |
RFも抗CCP抗体も陰性 | 0 |
RFか抗CCP抗体のいずれかが低値の陽性 | 2 |
RFか抗CCP抗体のいずれかが高値の陽性 | 3 |
滑膜炎の期間(0–1点) | |
6週間未満 | 0 |
6週間以上 | 1 |
急性期反応(0-1点) | |
CRPもESR も正常値 | 0 |
CRPかESRが異常値 | 1 |
スコア(10点満点);6点以上ならばRAと分類される。
*:MCP、PIP、MTP2-5、1stIP、手首を含む
**:肩、肘、膝、股関節、足首を含む
***:DIP、1stCMC、1st MTPは除外
低値の陽性:基準値上限より大きく上限の3倍以内の値
高値の陽性:基準値の3倍より大きい値
新基準使用時のRA鑑別疾患難易度別リスト
高;
1. ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス、風疹ウイルスなど)
2.全身性結合組織病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症)
3.リウマチ性多発筋痛症
4.乾癬性関節炎
中;
1. 変形性関節症
2.関節周囲の疾患(腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎、滑液包炎など)
3.結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風など)
4.血清反応陰性脊椎関節炎(反応性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患関連関節炎)
5.全身性結合組織病(ベーチェット病、血管炎症候群、成人スチル病、結節性紅斑)
6.その他のリウマチ性疾患(回帰リウマチ、サルコイドーシス、RS3PEなど)
7.その他の疾患(更年期障害、線維筋痛症)
低;
1. 感染に伴う関節炎(細菌性関節炎、結核性関節炎など)
2.全身性結合組織病(リウマチ熱、再発性多発軟骨炎など)
3.悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)
4.その他の疾患(アミロイドーシス、感染性心内膜炎、複合性局所疼痛症候群など)