リウマチ性多発筋痛症ってどんな病気?
2017年03月30日 リウマチ性疾患
リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica: PMR)は、50歳以上の年齢の方に多く発症し、肩の痛み、体に近い側の肩や上腕、大腿などの四肢近位筋主体の痛みや朝のこわばりと、微熱、倦怠感を呈する炎症性疾患です。男女比は1:2~3で女性に多く、発症年齢のピークは70-80歳とされています。 最近、肩の痛み、上腕、大腿などの痛みや朝のこわばりと、微熱、倦怠感を認め、原因不明と言われ、当院を受診され、リウマチ性多発筋痛症と診断されるケースが多く見受けられます。 症状としては、肩の痛みが最も頻度が多く(70-95%)、次いで頚部・臀部の痛み(50-70%)、大腿の疼痛、こわばり感を認めます。症状は一般的に左右対称に出現し、特に腕を挙げたり、起き上がるなど、動作時に強くなる痛みが特徴的です。典型的には、ベッドの寝返りがきつい・できないといった症状を訴えます。発症は比較的急速で、数日から数週間のうちに症状が出現し、持続します。こわばりは、すべての患者さんで認め、肩や臀部、大腿などに起床後最低30分は持続します。多くの場合、このこわばりは体を動かさずにじっとしていると強くなります。また、発熱、食欲不振、体重減少、倦怠感、うつ症状などを伴うこともあります。 高齢者の方が、「ある日急に両腕が肩より上に挙げられなくなって、両肩から二の腕にかけてと太ももに筋肉痛がでてきた。症状は続き、特に朝に顕著なこわばりが出るようになって、着替えがしにくかったり、寝返りしにくいなど、体が動かしにくくなった」というようなもが最も典型的な症状と言えます。 この病気を診断する上で大切なことは、まず症状からこの病気を疑うことです。診断は、Bird(バード)の診断基準が用いられます。 Bird(バード)の診断基準(1979年) 1. 両側の肩の痛み、またはこわばり感 2. 発症2週間以内に症状が完成する 3. 発症後初めての赤沈値が40 mm/h以上 4. 1時間以上続く朝のこわばり 5. 65歳以上発症 6. 抑うつ症状もしくは体重減少 7. 両側上腕の筋の圧痛 上記7項目のうち3項目を満たすもの、もしくは1項目以上を満たし臨床的あるいは病理的に側頭動脈炎を認めるものをリウマチ性多発筋痛症とみなします(感度92%、特異度80%)。 治療としては、少量のステロイドが著効しますが、減量によって再燃しやすいという性質もあり注意が必要です。 リウマチ性多発筋痛症で大切なことは、まず症状からこの病気を疑うことですので、体幹部に近い大きな筋肉の痛み、こわばりを認めたら、リウマチ性多発筋痛症を疑ってみてください。リウマチと同様、症状が現れてから治療開始までが早期の方が、治療反応性は良好とされます!!