関節リウマチの治療目標

治療目標は?

これらすべての治療における目標は、【寛解(かんかい)】です。

“寛解”とは 病気の症状がほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態を意味します。リウマチおいては3つの寛解、つまり炎症と自他覚症状の消失を意味する臨床的寛解、関節破壊の進行がほとんど止まることを意味する構造的寛解、身体機能の維持を意味する機能的寛解の導入を治療目標としています。

この目標が達成できれば、抗リウマチ薬を服用しながらではありますが、関節リウマチを罹患していることをほとんど自覚することなく日常生活を送ることが出来るようになります。また、なかには抗リウマチ薬の服用さえも休止し、治癒したと言える状態(完治)にまでになる患者さんもいらっしゃいます。

この治癒状態(完治)に一人でも多く到達して頂くためには、適切な早期診断および適切な早期治療が極めて重要であります。

リウマチの疾患活動性評価は?臨床的寛解って?

診察時における現在のリウマチ活動性評価は、以前の「なんとなく良い」とか「大体大丈夫」などといったあいまいなものではありません。

糖尿病におけるHbA1cや高血圧における血圧数値のように、明確な数値として疾患活動性の数値目標が定められています。

 

DAS28、SDAI、CDAIにて、疾患活動性を評価しています。

【項目】

①DAS28(腫脹関節数、圧痛関節数、患者全般評価、急性期反応物質)

②SDAI(腫脹関節数、圧痛関節数、医師全般評価、患者全般評価、急性期反応物質)

③CDAI(腫脹関節数、圧痛関節数、医師全般評価、患者全般評価)

 

【総合的疾患活動性指標】

①DAS28・・・・・・・寛解<2.6 低疾患活動性(LDA)≦2 中疾患活動性(MDA)≦5.1

②SDAI・・・・・・・・寛解3.3 低疾患活動性(LDA)≦11 中疾患活動性(MDA)≦26

③CDAI・・・・・・・・寛解2.8 低疾患活動性(LDA)≦10 中疾患活動性(MDA)≦22

 

すなわち、臨床的寛解とは、DAS28<2.6、SDAI≦3.3、 CDAI≦2.8の状態を言います。

この数値は、診察時には常に主治医に確認し、現在の疾患活動性を把握するようにされてください。

最も厳しい寛解基準【Boolean寛解】とは?

リウマチ診療における総合的疾患活動性指標による寛解基準には、DAS28寛解、SDAI寛解、CDAI寛解があります。

 

DAS28<2.6
SDAI 3.3以下
CDAI 2.8以下

 

これらの寛解基準以上の、最も厳しい寛解基準が【Boolean寛解】と呼ばれるものです。

 

【Boolean寛解】
①腫脹関節数
②圧痛関節数
③患者疾患活動性全般評価(VASで0~10cm)
④CRP(mg/dl)
すべてが1以下

 

このBoolean寛解達成・維持の先には、より可能性の高いバイオフリー、ドラッグフリーが待っているものと思われます!!

 

【関節リウマチ疾患活動性指標】

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構造的寛解って?

リウマチがリウマチたる由縁は、関節が腫れて痛いだけでなく、関節が破壊され、変形していってしまうからであります。

ではその関節破壊の【程度】・【進行】を定量的に評価していく検査がレントゲンとなります。

 

その時点での【程度】は、Steinbrockerによるstage分類が用いられます。

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*印のある基準項目は,特にその病気あるいは進行度に患者を分類するためには必ずなければならない項目である.

 

一方で、1年間での関節破壊の【進行】は、modified Total Sharp Score(mTSS)を用いて評価します。
これは、手と足のびらん(Erosion)関節裂隙狭小化(Joint space narrowing: JSN)を点数化するスコアです。手の関節数(Erosion:16関節、JSN:15関節)、足の関節数(Erosion:6関節、JSN:6関節)で、全ての関節の合計点数をその患者のTotal Sharpスコア(総 Sharpスコア)とします。手の最大点数は280点(Erosion:160点、JSN:120点)、足の最大点数は168点(Erosion:120点、JSN:48点)であり、Total Sharp スコアの最大点数は448点となります。

 

ここで、関節破壊が抑止された状態である【構造的寛解】とは、年間mTSS増加量(⊿mTSS)≦0.5を言います。

機能的寛解って?

リウマチは、発症早期でも関節の疼痛や腫脹のため、また進行すると関節変形や筋委縮のために、日常生活動作(activity of daily living;ADL)に制限が生じてしまう病気であります。リウマチは、このような身体機能障害に加え、精神的にも社会機能的にも多大な影響を与え得る点で、発症早期より関節疼痛・腫脹を抑え、関節破壊・変形を防ぐ治療を行うことが極めて重要であります。

 

では、リウマチで用いられる身体機能評価法は、Health Assessment Questionnaire(HAQ)といいます。
8項目の動作からなるアンケートで、難なくできる;0点、少し 難しい;1点、かなり難しい;2点、全くできない;3点とし、8項目の平均点(0-3点)で評価しています。

【項目】
[1]衣類着脱 ・身支度動作
[2]起床動作
[3]食事動作
[4]歩行動作
[5]衛生動作
[6]伸展動作
[7]握力動作
[8]活動動作
からなります。
詳しくは、当院問診票をご参照ください。

http://yukawa-clinic.jp/module/img/common/saishin.pdf

 

このHAQ<0.5を機能的寛解(HAQ寛解)といいます。
発症早期の関節破壊・変形のない方は、当然、臨床的寛解・構造的寛解・機能的寛解=完全寛解を目指し、治療を行います。

 

しかし、すでに高度の関節破壊・変形が起こってしまっている方もいらっしいます。この寛解に到達する事は困難でありますが、適切な治療を行った結果徐々にHAQが低下し、「以前より生活の質が改善した」と実感されている方は数多くいらっしゃいますので、おいくつになっても・たとえ関節破壊が高度であっても決して治療を諦めることなく、適切な治療を行うことは大切であります。

生活上の注意点は?

関節リウマチの寛解、そして維持を目指すには、薬物療法を基本に、運動やリハビリテーション、生活の工夫を組み合わせた治療・ケアが必要です。

  • 症状を悪化させるタバコは厳禁
    ・喫煙の心臓血管系への影響などはよく知られていますが、喫煙は関節リウマチの発症リスクを高めます。それだけでなく、薬の効きを悪くして、治療に影響します。節煙では効果がないので、きっぱりとやめるようにしましょう。
  • 食事はバランスよく様々な食品から
    ・食事療法が必要な合併症がなければ、基本的に食事の制限はありません。特にこれを食べたから病状が悪くなるといった食事もありません。しかし、骨粗しょう症などの合併症を少しでも防ぐためには栄養のバランスを良くし、良質のたんぱく質や、カルシウム、鉄分を積極的に摂るようにしましょう。
    ・睡眠・休養を十分取るようにする
    ・疲労は症状悪化のきっかけになることがあります。休養をとって体調、心のストレスを減らすようにしましょう。
  • 体を動かして関節や筋肉の機能を守る
    ・炎症や痛みが強い時は安静が第一ですが、病状が落ち着いてきたら自分にできる範囲で、毎日少しずつでもリハビリテーションや運動を続けましょう。自宅でも簡単にできるリウマチ体操や、炎症が強い時は関節を動かさずにできる体操がありますので、体調に相談しながら無理せず行うことが大切です。
  • 温める・冷やすで痛みを和らげる物理療法
    ・炎症がおさまっているときには、温熱や光線、超音波による温熱療法が適しています。(ただし、人工関節や、心臓ペースメーカーを植え込んでいる人は受けられないことがあります。)また、炎症が強く、痛みや腫れがあるときは冷却療法で患部を冷やします。
    ・関節に負担をかけない自助具・装具利用や、洋式の生活で暮らしやすく
    ・立ち座りや、食事、排せつなどの際にも関節は大きくかかわっています。持ちやすい食器や、装具を利用することで関節への負担を和らげましょう。また、基本的に和式ではなく洋式の生活のほうが関節への負担が軽くて済みます。例えば、畳に座るより、椅子に座ったほうが膝や股関節の負担を減らすことができます。

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