防風通聖散による1ヶ月の効果について
年齢とともに、お腹の脂肪が落ちにくくなりお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは、肥満症の改善目的で処方される漢方薬です。
また、便秘改善作用もあり、お腹まわりをすっきりさせる効果も期待できます。
本記事では、防風通聖散について以下の点を中心にご紹介します。
- 漢方の気血水とは
- 防風通聖散を1ヶ月続けることで期待できる効果
- 防風通聖散はどんな人でも効果がある?
防風通聖散の服用を考えている方のお悩みが解決できれば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
防風通聖散とは
防風通聖散とは、腹部の内臓脂肪の減少に効果が期待できます。
そのため、とくに内臓脂肪型の肥満症の方に向いている漢方薬です。
また、太りにくい体をつくることにも効果が期待できます。
漢方薬は、植物・鉱物などの生薬(しょうやく)を組み合わせた医薬品です。
生薬とは、漢方薬を構成する原料のことで、防風通聖散には18種類の生薬が配合されています。
防風通聖散に配合されている代表的な生薬は、主に下記の通りです。
名称(読み方) | 期待できる効果 |
甘草(カンゾウ) | 血行の改善 |
麻黄(マオウ) | 発汗作用を促す |
大黄(ダイオウ) | 腸を刺激し、排便を促す |
芒硝(ボウショウ) | 主に硬くなっている便を柔らかくする |
滑石(カッセキ) | 利尿効果 |
生姜(ショウキョウ) | 消化器に停滞した水分を温める |
漢方の気血水
漢方は、気・血・水の3つの概念で言い表します。
気・血・水の3つが、体内をバランスよく循環している状態で健康が保たれています。
しかし、気・血・水のうちどれか1つでもバランスが崩れると、不調や病気の原因になります。
そもそも、気・血・水とは?と疑問に感じている方へ詳しく解説します。
気
「気」とは、人間の体を動かすエネルギーを指します。
気が正常に働くことで、内臓の働きや、精神状態を正常に維持します。
「気」は気鬱・気虚・気逆の3つに分けられます。
気鬱とは、気の流れが停滞し詰まった状態のことをいいます。
停滞してしまうと、
- 胸が苦しい
- 抑鬱傾向
- 喉のつかえ感
の症状を引き起こします。
気虚とは、気の量が不足する状態のことをいいます。
不足することで、
- 気力がない
- 疲れやすい
- 食欲不振
- 身体のだるさ
の症状を引き起こします。
気逆とは、上半身から下半身にいくはずの気が逆流することで
- 動悸
- のぼせ
- 発作性頭痛
の症状を引き起こします。
血
「血」とは、血液と同等のものを指します。
「血」は血虚・瘀血(おけつ)の2つに分けられます。
血虚とは、血の作用が不足した状態のことをいいます。
不足してしまうと
- 髪の毛が抜けやすい
- 肌荒れ
- 顔面蒼白
- 貧血
の症状を引き起こします。
瘀血とは、血の巡りが悪くなることをいいます。
血の巡りが悪くなると
- 目の下のクマ
- 月経障害
- 顔面の色素沈着
の症状を引き起こします。
水
「水」は、体の中にある透明な液体で
- 鼻水
- 尿
- リンパ液
などを指します。
水滞(水毒)とは、身体の一部に水分が溜まっている状態のことをいいます。
水滞が起こると、
- むくみ
- 頭痛
- めまい
の症状を引き起こします。
とくに、胃腸など消化器に水が滞ることによって
- 胃もたれ
- 食欲不振
- 吐き気
- 下痢
などの消化器症状を引き起こします。
防風通聖散を1ヶ月続けることで期待できる効果
防風通聖散は
- 血行促進
- 脂肪燃焼
- 便秘解消
- むくみ改善
の効果が期待できる漢方薬です。
むくみ、便秘、血行不良はダイエットの天敵といわれています。
どのような作用が関係して、ダイエットの効果が得られるのでしょうか。
血行促進
血や水が体内に滞ることによって、代謝が悪くなり肥満に繋がる原因になります。
とくに血の流れが悪く、滞っている状態を瘀血といいます。
防風通聖散には、瘀血を改善する効果が期待できるダイオウや、体を温めることで血行促進効果が期待できるショウキョウが含まれています。
ダイオウやショウキョウの作用によって血行促進を促し、痩せる効果が期待できます。
脂肪燃焼
防風通聖散にはお腹周りの皮下脂肪を分解し、燃焼する効果が期待できます。
とくに、カンゾウが脂肪細胞に働きかけ、体脂肪の蓄積を予防します。
皮下脂肪を分解・燃焼するだけでなく、食事から取り込まれた脂質を便と一緒に排出する効果も見込めます。
マウス実験では、防風通聖散によって便から脂質の排出が増えたという報告もあります。
便秘改善
便秘改善の効果があるといわれているダイオウが配合されているため、便秘改善が期待できます。
ダイオウは古くから、便秘改善に使われてきた生薬です。
便秘が解消されることによって、お腹まわりの張りの改善に繋がります。
むくみ改善
利尿効果があるカッセキや、消化器に停滞した水分を温める働きをするショウキョウの作用によってむくみの改善につながります。
肥満の場合、血や水といった体液が滞ることによって
- 代謝が悪くなる
- 脂肪の蓄積
の原因になります。
カッセキやショウキョウの働きによって、血や水の停滞が改善されむくみを改善することが期待できます。
防風通聖散はどんな人でも1ヶ月で効果があらわれるのか?効果がない場合はなぜ?
防風通聖散で、効果が得られる服用目安は以下の通りです。
症状 | 服用目安 |
便秘 | 約1週間 |
肥満症・むくみ | 約1ヶ月 |
根本的な改善 | 約3ヶ月~半年以上 |
即効性はないため、継続して服用を続けることが重要です。
防風通聖散の服用だけではなく、適度な運動と食事療法を一緒に行うことで効果アップにつながります。
効果があらわれたことで、服用を中止するともとの体質に戻る可能性が高くなります。
効果のあらわれ方には個人差がありますが、1〜2ヶ月程度服用して効果がなければ体質に合っていない可能性があるので医師に相談してみましょう。
また、漢方薬には、肥満を改善する目的が一緒でも体質によって適している漢方薬が違う場合があります。
東洋医学では体質の基準として「証」というものがあり、「虚証」と「実証」の2つに分けられます。
虚証(きょしょう)とは
- 疲れやすい
- 細くて華奢
- 胃腸が弱い
- 下痢をしやすい
- 寒がり
実証(じっしょう)とは
- 体力がある
- 筋肉質でがっしりしている
- 胃腸が強い
- 体が丈夫で体力がある
防風通聖散は副作用に下痢などが伴うことがあるため、胃腸が強くて体が丈夫な実証の方向けの漢方薬です。
出典:防風通聖散はどんな漢方?肥満や高血圧への効果、副作用など徹底解説|家族の介護と健康を支える学研の情報サイト健達ねっと
防風通聖散による1ヶ月の効果に関するよくある質問
防風通聖散に関する質問で多いのが、以下の4つです。
- 授乳中の服用は?
- 冷え性の場合、服用しても大丈夫?
- 副作用はある?
- 妊娠中の服用は?
それぞれ詳しく解説します。
授乳中でも服用できる?
防風通聖散に含まれているダイオウという生薬には、腸を刺激し排便を促す効果があります。
母乳を介して赤ちゃんが下痢をする可能性があるため、授乳中の服用は避けましょう。
冷え性でも服用して良い?
防風通聖散は、少し体が冷えてしまう傾向がある漢方薬です。
- もともと冷え性の方
- お腹が弱い方
は冷えが悪化したり、下痢をする可能性があるため服用を避ける必要があります。
副作用はある?
生薬が体質に合わないことで、まれに副作用がおきます。
防風通聖散に含まれるダイオウが、腸へ作用し
- 下痢
- 吐き気
の消化器症状を引き起こすことがあります。
また、オウゴンにより肝機能障害・間質性肺炎が起きることがあり
- 息苦しさ
- 空咳
- 全身のだるさ
- 食欲不振
- 発熱
の症状があらわれた場合、服用を中止する必要があります。
さらに、ほかの漢方を服用していると、配合されている生薬が重なることが原因で重篤な副作用があらわれることがあります。
とくにカンゾウの量が多いと、偽アルドステロン症の危険性が高くなり
- むくみ
- 血圧の上昇
- 手足のしびれ
の症状があらわれます。
マオウの量が増えることで、交感神経を刺激する作用があるため
- 高血圧
- 心臓疾患
がある方は注意が必要です。
防風通聖散以外の薬を定期的に服用している場合、
- 定期的に服用している薬の効果が半減
- 効果が出すぎて副作用を生じる可能性
があるので、服用を始める前に、自己判断ではなく医師または薬剤師に相談しましょう。
妊娠中も服用できる?
防風通聖散に配合されているダイオウやボウショウという生薬には
- 子宮収縮作用
- 骨盤内臓器の充血作用
があり、服用することで流産や早産のリスクが高まる可能性があります。
妊娠中は防風通聖散の服用は避けたほうがいいでしょう。
防風通聖散による1ヶ月の効果まとめ
ここまで、防風通聖散についてお伝えしてきました。
防風通聖散の要点をまとめると以下の通りです。
- 気・血・水の3つは、健康を保つためバランスよく循環していることが大切
- 血行促進・脂肪燃焼・便秘解消・むくみの改善で痩せる効果が期待できる
- 防風通聖散は、胃腸が強くて体が丈夫な方に向いている漢方薬
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。