ピルの効果について
ピルの代表的な効果として「避妊効果」が挙げられますが、避妊効果にも様々な効果が期待できることをご存知でしょうか。
しかし、ピルを服用する際には副作用やピルの服用を避けた方が良い方がいらっしゃいます。
本記事では、ピルの効果やピルの服用時の注意点について以下の点を中心にご紹介します。
- ピルとは
- ピルの効果
- ピルの副作用
- ピルを飲まない方が良い方
ピルの効果やピルの服用時の注意点について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
ピルとは
「ピル」と聞くと偏った認識をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
では、実際「ピル」とはどういったものなのでしょうか。
経口避妊薬の役割
ピルには、「経口避妊薬」の役割があります。
避妊薬の中でも代表的なコンドームは、正しく使用した際の避妊率が約85%に対し、経口避妊薬であるピルは約99.7%の避妊効果があるとされています。
従って、ピルはコンドームに比べ、より確実な避妊効果を期待できます。
しかし、ピルは飲み忘れがあった場合には避妊効果が低下してしまう特徴があるため、避妊効果を得るためには、飲み続けることが重要です。
出典:「ピルとコンドームの避妊率について 田渕レディスクリニック」
避妊以外の主な用途
ピルには、経口避妊薬としての役割以外に、生理痛や月経前症候群(PMS)への効果、生理周期の改善、ホルモンの影響によるニキビや肌荒れの改善が期待できます。
その他にも、卵巣がんと子宮体がんのリスクの低減やダイエットにも効果があるとされています。
ピルによって得られる効果に違いがあるため、軽減したい症状によってピルを処方してもらうようにしましょう。
避妊以外の主な用途についての詳しい説明は、次項で詳しくご紹介します。
ピルの効果
ピルには、様々な効果が期待できます。
避妊効果や経口避妊薬以外の主な用途について詳しくご紹介します。
避妊効果
ピルには黄体ホルモンと卵胞ホルモンという女性ホルモンが含まれており、ピルを服用することで、体が女性ホルモンを生成していると思い込み、避妊効果を得られます。
体内で女性ホルモンの生成が抑えられることで
- 排卵が起こらなくなる
- 子宮頸管の粘度が増し、精子が子宮に入りにくくなる
- 子宮内膜の増殖が抑えられ、受精卵が着床しにくくなる
といった効果により、高い避妊効果を得られます。
生理痛の緩和
生理痛とは、妊娠に備えて子宮内膜が剥がれ体外へ排出される際に、子宮内膜に存在するプロスタグランジンやブラジキニンなどの疼痛物質の影響で起こる腹部の痛みを指します。
ピルを服用することで、女性ホルモンが体内で生成されていると勘違いをお越し、子宮内膜の増殖を抑える効果があります。
子宮内膜の増殖が抑えられることで、子宮内膜内に存在する「痛み」の化学物質が減少し、生理痛の緩和へと繋がっていきます。
月経前症候群(PMS)の緩和
月経前症候群(PMS)とは、排卵から月経までの間に、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが急激に増減することで、自律神経のバランスに影響を与えます。
自律神経のバランスが崩れることで
- 頭痛
- めまい
- 倦怠感
- イライラ
などの症状が現れます。
しかし、ピルを服用することで体内のホルモンの急な増減が安定し、月経前症候群(PMS)の症状が緩和へと繋がっていきます。
生理周期を改善する
ピルを服用することで生理周期の改善が期待できます。
ピルを服用することで体内で分泌される女性ホルモンのバランスが安定し、生理周期の改善へと繋がります。
生理周期が改善し把握できるようになることで、大事な予定や旅行なども計画しやすくなることでしょう。
また、ピルの使用方法によっては、生理を遅らせたり早めたりでき、生理期間の調整も行うことが可能です。
ニキビなど肌荒れの改善
女性ホルモンは脂質由来のため、ニキビや肌荒れと深く繋がりがあります。
女性ホルモンには黄体ホルモンと卵胞ホルモンという種類があり、特に黄体ホルモンが、皮脂の分泌に影響を与えています。
生理前にニキビができやすい方や肌荒れが見られる方が多い点には、女性ホルモンである黄体ホルモンが原因として挙げられます。
しかし、ピルの服用により、体内で生成される黄体ホルモン量が減り、皮脂の過剰分泌を防げます。
その結果として、ニキビや肌荒れの悪化を予防できます。
卵巣がん・子宮体がんなどの疾患の予防
若い女性がピルを定期的に服用することで、卵巣がんや子宮体がんの疾患予防に繋がるとされています。
卵巣がんと子宮体がんの原因には、女性ホルモンである卵胞ホルモンが関係しています。
卵巣がんは、卵巣への排卵刺激が起こることが原因とされており、子宮体がんは、卵胞ホルモンの過剰分泌による子宮内膜の肥厚が原因といわれています。
従って、ピルを服用することにより、体内で過剰に卵胞ホルモンが生成されなくなるため、卵巣への排卵刺激や子宮内膜の肥厚がなくなり、がん予防へと繋がっていきます。
一方で、はっきりとした原因は不明であるものの、子宮頸がんはごくわずかに発症リスクが上がることが指摘されています。
従って、ピル使用時には、定期的ながん検診の実施が重要といわれています。
ダイエット効果
ピルには、標準体重を超えてしまった「肥満」に悩まれている方向けの「ダイエットピル」といった薬があります。
女性ホルモンが主に配合されている経口避妊薬とは異なり、ダイエットピルは食欲を抑えたり脂肪や糖の排出を促す効果が期待できます。
ダイエットピルには、食欲を抑える「食欲抑制薬」、脂肪の吸収を抑制する「脂肪吸収阻害薬」、ブドウ糖を尿と一緒に排出する「ブドウ糖再吸収阻害薬」などの種類があります。
しかし、ダイエットピルは、その効果の反面、様々なリスクが起こります。
主に起こり得るリスクは以下の通りです。
- 口の渇き
- 便秘・下痢
- 吐き気・嘔吐
- 胃の不快感
- 不眠症
- 頭痛
- めまい
- てんかん
- 注意散漫
- 気分の落ち込み
ピルの副作用について
ピルの副作用は、ピル服用初期に現れることが多いとされています。
主に起こり得るピルの副作用は以下の通りです。
- 不正出血
- 吐き気
- 頭痛
- むかつき
- 下腹部痛
- 下痢
- むくみ
- 乳房のはり
この中でも、不正出血は10人に1~2人ほどの確率で起こるといわれています。
軽度の症状であれば、ピルを飲み始めてから1カ月~2カ月ほどで治まることがほとんどです。
しかし、1カ月~2カ月経っても症状の緩和が見られない場合は、ピルを処方して医師に相談しましょう。
その他にも、懸念される大きな副作用の1つに血栓症があります。
血栓症を発症してしまう確率はかなり低いといわれていますが、血栓症が悪化してしまうと重篤な症状になってしまう場合もあります。
従って、ピル服用時には、期的な検診や検査を受けることが重要です。
ピルを飲まないほうが良い人
ピルは避妊効果以外にも様々な効果が期待できるため、多くの方がピルの服用を検討されるかもしれません。
しかし、ピルは飲まないほうが良い方がいらっしゃいます。
そこで、ピルを飲まないほうが良い方の特徴をご紹介します。
血栓症の既往がある人
ピルには、エストロゲン(卵胞ホルモン)という成分が含まれており、エストロゲン(卵胞ホルモン)は血液を固まりやすくする作用があります。
血液が固まりやすいということは、血栓症ができやすい特徴があるため、血栓症の既往がある方はピルの服用は控えた方が良いとされています。
具体的には、血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患などの病気にかかったことがある方、手術や出産後の方、長期安静が必要な方も避けた方が良いでしょう。
従って、ピルを服用する際に血栓症の既往がある方は、医師にその旨を伝えるようにしましょう。
妊婦
ピルには避妊効果がある為、妊娠中はもちろん授乳中のピルの服用はできません。
妊娠中にピルを飲まれる方はいらっしゃらないと思いますが、妊娠している可能性がある方もピルの服用は控えましょう。
また、妊娠中に黄疸、持続性掻痒症が現れたことのある方や、妊娠ヘルペスの既往のある方もピルの服用は避けた方が良いとされています。
喫煙習慣のある人
ピルの服用を避けた方が良い方には、喫煙習慣がある方も含まれます。
ピル服用中は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の成分で通常よりも血栓ができやすくなりますが、タバコも血栓症のリスクを上げてしまう可能性があります。
目安としては、35歳以上で1日15本以上の喫煙者の方はピルの服用はできません。
しかし、1つの目安に過ぎないため、喫煙される方は医師への相談が必要です。
エストロゲン由来のがんの既往がある人
女性に多く見られる乳がんや子宮がん、子宮頸がんは、エストロゲン(卵胞ホルモン)が由来のがんとされており、これらのがんの既往がある方はピルを飲まない方が良いとされています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)はピルにも含まれており、血液を固め血栓を作ってしまうリスクがあるため、エストロゲン(卵胞ホルモン)由来のがんの既往がある方は注意が必要です。
もしピルの服用を希望される場合は、医師との相談の上服用するようにしましょう。
ピルの種類
ピルには大きく分けて4つの種類があり、種類ごとに特徴があります。
そこで、ピルの種類と特徴についてご説明します。
超低用量ピル
超低用量ピルとは、ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)が1錠あたり0.03mgより少ないピルのことを指します。
主に「月経困難症」や「子宮内膜症」の治療目的で使用されるため、生理痛に悩まれている方や月経困難症・子宮内膜症の治療を目的とされている方におすすめです。
月経困難症や子宮内膜症の方で、医師が診察した上であれば保険適用が可能です。
また、日本において超低用量ピルは、避妊を目的として処方されることはありません。
低用量ピル
低用量ピルは、ピルに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)が1錠あたり0.05mgより少ないものを指します。
「経口避妊薬」とも呼ばれ、避妊やPMSの緩和目的で使用されるピルです。
従って、低用量ピルは避妊目的の方やPMSに悩まれている方におすすめです。
低用量ピルは、28日を1周期として1日1錠、毎日決まった時間に、決まった順番で服用することで、高い避妊効果が期待でき、生理周期の安定化や肌荒れの改善なども期待できます。
また、低用量ピルは避妊目的で使用されるため、保険適用外のピルです。
中用量ピル
中用量ピルは、低用量ピルに比べて1錠あたりに配合されている卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が多いものを指します。
「生理不順」「過多月経」「月経困難症」などの改善効果が期待でき、治療薬としても使われています。
その他に、大事な予定と生理が被らないよう、生理日の移動ができるのも中用量ピルの特徴です。
また、中用量ピルは使用目的が「治療」であれば保険の適用が可能です。
アフターピル
アフターピルは女性ホルモンの1つである黄体ホルモンを主成分としているため、他のピルとは得られる効果が異なります。
アフターピルは主に、緊急避妊薬として使われ、妊娠の可能性がある性交後、72時間以内に1錠服用することで、避妊効果が期待できます。
しかし、高い避妊効果を得るためには、性交からなるべく早くピルを服用することが大切とされています。
また、他のピルと異なり、性交後に服用することで効果が得られる薬のため、飲み方や使い方に注意が必要です。
ピルの効果に関するよくある質問
ピルの効果について良くある質問をまとめました。
ピルについて理解するためにもご参考下さい。
ピルは服用し始めてどのくらいで効果が出るの?
ピルを服用し始めてからの効果は、緩和を希望としている症状によって異なります。
症状別の効果を感じ始める時期については以下の通りです。
避妊効果
※避妊効果を得る時期は、ピルの服用開始時期により異なる。 |
・生理1日目から服用:即日から避妊効果が有り
・生理開始後に服用:1週間後から効果有り |
生理痛・月経痛緩和 | ・服用開始後の次の生理から効果有り |
ニキビ改善効果 | ・服用後から2カ月~3カ月後効果有り |
しかし、ニキビ改善効果を期待する方は、ピル服用時の副作用として、飲み始めにニキビの悪化が見られる場合があります。
ピルをやめたい時はどうしたらいいの?
ピルはいつでもやめられる薬です。
ピルをやめた後は、自然に排卵が再開し、遅くとも2カ月~3カ月以内に妊娠ができるようになるといわれています。
しかし、ピルを服用することで子宮内膜症や卵巣がんの予防にも効果が期待できるため、ピル服用の際は一度医師と相談することをおすすめします。
ピルの飲み忘れに気づいたら?
ピルは飲み忘れてしまうと、高い効果を維持できなくなってしまう場合があります。
また、飲み忘れに気づいたタイミングによって対処方法が異なるため、飲み忘れのタイミング別に表でご紹介します。
飲み忘れにすぐ気付いた | 飲み忘れに気付いた時点で服用する |
服用時間の24時間後に飲み忘れに気づいた | 飲み忘れ分と当日分を合わせて2錠飲む |
2日分ピルを飲み忘れた | 気付いた時点で2錠飲む |
3日以上飲み忘れた | 生理が来るため服用を中止し、生理が終わった時点で新しいシートを服用する |
オンライン診察でピルが自宅に届く?
ピルを服用する際には必ず医師の診察が必要ですが、「クリニックに来院すること」を負担に感じる方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで、おすすめな方法にオンライン診察でのピル処方があります。
オンライン診察でピルを処方してもらうには
- オンライン診察が可能なクリニックまたは、アプリで事前登録する
- 希望の診察方法(ビデオ通話又は、チャット)を選び診察予約する
- 予約日時に医師と相談・診察し、ピルを処方してもらう
- 自宅にピルまたは処方箋が届くため、即日からピルの利用ができる
自宅から行えるオンライン診察は、なかなか時間が確保できない方や、ピルを継続的に服用したい方にとってはメリットが多いといえます。
しかし、オンライン上での診察のため
- 副作用などが起きた際にすぐに対応してもらえない
- 別途定期的な検査を自分で行う必要がある
などといったデメリットが挙げられます。
従って、メリットやデメリットを踏まえた上で、ご自身に合った診察方法を選ぶようにしましょう。
ピルの効果まとめ
ここまでピルの効果やピル服用時の注意点についてお伝えしてきました。
ピルの効果やピル服用時の注意点についての要点をまとめると以下の通りです。
- ピルとは経口避妊薬、生理痛やPMS、生理周期の改善などが期待できる薬
- ピルには避妊、生理痛の緩和、ニキビや肌荒れの改善効果がある
- ピルの副作用には、不正出血、吐き気、頭痛などが起こる場合がある
- 血栓症の既往がある方や妊婦、喫煙習慣のある方はピルの服用は控えた方が良い
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。