ピルにはどんな種類がある?メリットやデメリットを徹底解説

ピルの種類について

マリアクリニックヴェルベットスキンピルは単に避妊効果だけでなく、現代社会で生きる多くの女性にたくさんのメリットがあります。

女性ホルモンの薬で様々な種類があり、それぞれに特徴があることを理解して服用することが大切です。

本記事ではピルについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 配合量の違いとピルの種類
  • 中用量ピルの種類
  • 低用量ピルの種類
  • 超低用量ピルの種類
  • アフターピルの種類
  • ミニピルの種類
  • 偏見について

ピルについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

配合量の違いから見たピルの種類

ピルとは、女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)黄体ホルモン(プロゲステロン)によって構成された経口避妊薬です。

配合量の違いから見たピルの種類を詳しく解説します。

中用量ピル

中用量ピルの目的やメリット・デメリットは以下になります。(エストロゲン含有量 50ナノグラム/1錠)

目的 メリット デメリット
・月経移動

・月経困難症の改善

・避妊効果

・緊急避妊

・生理日を調整できる

・生理不順の改善に効果が見込める

・避妊効果が期待できる

・性交後72時間以内の内服で80%以上の避妊が期待できる

・頭痛や吐き気など副作用が起こる可能性がある

・血栓症を引き起こす可能性がある

・医師による処方が必要

・毎日の服用が必要

・不正出血の可能性がある

低用量ピルに比べて、エストロゲンの配合量が多いのが特徴です。

低用量ピルに比べて薬の成分が強いため、副作用の症状が強く出る可能性があります。

出典:プラノバールはエストロゲン配合の中用量ピル アイシークリニック

出典:中用量ピルの値段相場 ルナレディースクリニック

出典:中用量ピルってなに?低用量ピルとの避妊効果や副作用の違い プライベートクリニック高田馬場

低用量ピル

低用量ピルの目的やメリット・デメリットは以下になります。(エストロゲン含有量 50ナノグラム以下/1錠)

目的 メリット デメリット
・生理痛や過多月経の緩和

・月経不順の改善

・月経前症候群(PMS)の緩和

・避妊

・子宮外妊娠の発症低下・良性乳房疾患・子宮内膜症・子宮体癌・卵巣癌の発症頻度低下

・月経による肌トラブルの改善

・生理周期が整う効果が見込める

・生理時の出血量の減少が見込める

・月経前症候群や生理痛の軽減に期待できる

・避妊効果が見込める

・女性特有の病気の低下に期待できる

・ホルモンバランスの乱れを整える効果が見込め、肌トラブル軽減が期待できる

・頭痛などの副作用がでる可能性がある

・医師による処方が必要

・毎日の服用が必要

・血栓症を起こす可能性がある

・不正出血の可能性がある

避妊目的で使用する自費のピル「OC」と、婦人科の治療目的で多く使用する保険適用のピル「LEP」があります。

以前より使用されている中用量ピルのホルモン効果を保ちながら、副作用の軽減が見込めます。

出典:避妊用低用量ピル(OC)/生理痛用低用量ピル(LEP) 新宿レディースクリニック

出典:低用量ピル(低用量経口避妊薬)のメリットとデメリット 浅川産婦人科

超低用量ピル

超低用量ピルの目的やメリット・デメリットは以下になります。(エストロゲン含有量 30ナノグラム以下/1錠)

目的 メリット デメリット
・月経困難症の改善

・子宮内膜症の治療

・生理痛や過多月経の緩和

・月経不順の改善

・月経前症候群(PMS)の緩和

・副作用の軽減が見込める

・生理周期が整う効果が見込める

・生理時の出血量の減少が見込める

・月経前症候群や生理痛の軽減に期待できる

・LEP(保険適用)に該当

・子宮内膜症による痛みを軽減する効果が見込める

・吐き気やむくみなどの副作用の可能性がある

・避妊効果は見込めない

・医師による処方が必要

・毎日の服用が必要

・不正出血が増える可能性がある

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

主に月経困難症や子宮内膜症などの治療として使用されLEP(保険適用)に該当します。(※オンライン診療や自由診療のクリニックでは保険適用外となるので注意)

他のピルに比べ吐き気や血栓症などの副作用は少ない特徴があるものの、不正出血は起こりやすい可能性があります。

アフターピル

アフターピルの目的やメリット・デメリットは以下になります。

目的 メリット デメリット
・緊急避妊効果 ・避妊に失敗したと思われる場合の妊娠防止が期待できる

・排卵抑制や排卵を遅らせる作用が見込める

・着床を阻害する作用が見込める

・効果が見込めるよう、早い内服が必要

・性交渉から時間が経過するとともに、避妊効果は減少する可能性がある

・倦怠感や疲労感、神経系障害や胃腸障害など副作用の可能性がある

避妊せずに性行為してしまった場合や避妊に失敗してしまった場合に、緊急的に内服します。

正しく服用することでレボノルゲストレル法の場合24時間以内で95%・72時間以内で85%程度の避妊効果が見込めます。

副作用として吐き気が含まれます。

吐き気によって嘔吐した場合、薬の成分も吐いてしまう可能性があります。

早い時間で吐いてしまった際は、処方してもらった医療機関に相談することをおすすめします。

出典:アフターピルの仕組みと効果【公式】大阪にある心斎橋駅前婦人科クリニック

ミニピル

ミニピルの目的やメリット・デメリットは以下になります。(エストロゲン含有 なし)

目的 メリット デメリット
・避妊効果

・月経困難症の改善

・子宮内膜症の治療

・生理痛や過多月経の緩和

・月経前症候群(PMS)の緩和

・避妊効果が見込める

・子宮内膜症による痛みを軽減する効果が見込める

・月経前症候群や生理痛の軽減に期待できる・血栓症のリスク低下が見込める

・肥満や35歳以上の方の処方可能(※医師の指導のもと)

・喫煙者・授乳中の方の処方可能(医師の指導のもと)

・トラネキサム酸(肝斑・シミの治療薬)との併用可能

・国内未承認の保険適用外(2023年1月現在)

・不正出血の可能性

・毎日同じ時刻に確実に服用

・内服が3時間以上ずれると効果が減少する可能性がある

・消退出血がなくなる可能性がある

・吐き気や頭痛などの副作用の可能性

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

黄体ホルモンのみで女性ホルモンを含有していないピルです。

日本では普及しておらず、国内では認可もされていません。(2023年1月現在)

したがって、処方している病院やクリニックは少ない傾向にあります。

しかしメリットを見ても有用性が見込め、海外では血栓リスクのある方・産後や授乳中の方の避妊法として広く使われています。

中用量ピルの種類

低用量ピルが認可される前には一般的にピルとして処方されていました。

中用量ピルの種類を解説します。

中用量ピルはプラバノールのみ

日本製の中用量ピルは、プラノバール・ソフィアAの2種類です。

ソフィアAの製造・販売は中止となり、現在処方される中用量ピルはプラノバールのみとなっています。

中用量ピルが処方されるケースは以下の症状の場合となります。

保険適用(治療が目的) 自費診療(治療が目的ではない)
・月経困難症

・子宮内膜症

・月経過多

・緊急避妊

・月経移動

中用量ピルは低用量ピルと比べホルモン配合量が多く、緊急避妊のアフターピルや月経移動を目的とし処方されることが多くあります。

薬の成分が強いため、副作用のリスクも上がる可能性があります。

服用の可能性として以下があげられます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 眠気
  • 血栓症など

低用量ピルと同様の副作用ですが、症状が強くでる可能性があります。

服用を続けるうち副作用は軽減する場合が大半ですが、副作用が続く場合は吐き気を抑える薬も合わせて処方してもらうのがおすすめです。

出典:中用量ピルってなに?低用量ピルとの避妊効果や副作用の違い プライベートクリニック高田馬場

低用量ピルの種類

使用されている黄体ホルモン別に、大きく4種類に分かれています。

低用量ピルの種類は以下になります。

  • 第一世代ピル
  • 第二世代ピル
  • 第三世代ピル
  • 第四世代ピル

それぞれについて詳しく解説していきます。

第一世代ピル

日本で初めて製造が承認された低用量ピルで、ルエチステロンが配合されています。

生理の出血量を抑えたり、生理痛を緩和する効果が他の低用量ピルより期待できます。

またニキビや肌荒れなどの改善が他の世代より見込めるため、美容目的で選ぶ方も少なくありません。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 不正性器出血
  • 悪心
  • 頭痛
  • 発疹
  • 浮腫
  • 血栓症
  • 過敏症など

他の世代より、不正性器出血が起こる可能性があるとされています。

第一世代のピルは以下が該当します。

  • シンフェーズ
  • フリウェルLD
  • ルナベルLDなど

出典:ピル(低用量ピル・超低用量ピル) アイレディースクリニック新横浜

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)平成27年3月

第二世代ピル

レボルノゲストレルが配合されています。

全種類が3相性(※1)です。

第一世代より自然なホルモンバランスを再現することで、配合されるホルモン量が少なくなっています。

第一世代より副作用の減少効果が見込めます。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 下腹部痛
  • 乳房の張り
  • 嘔吐
  • 発疹・蕁麻疹
  • 血栓症
  • 浮腫
  • 不正性器出血など

また、レボルノゲストレルにより男性ホルモンが活性化し過ぎる副作用(体臭が強くなる・多毛になるなど)を感じる可能性もあります。

低用量ピルはどの世代でも僅かな可能性として、血栓症のリスクを持つ薬です。

第二世代では実際に重大な血栓症の副作用症例が報告されていることも把握しておくことが大切です。

第二世代のピルは以下が該当します。

  • トリキュラー
  • アンジュ
  • ジェミーナ
  • ラベルフィーユなど

出典:ピル(低用量ピル・超低用量ピル) アイレディースクリニック新横浜

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)平成27年3月

※1低用量ピルは配合される実薬のホルモン量により以下の3種類に分けられます。

  •  1相性:1シートにおいて、実薬のホルモン配合量がすべて一定タイプ
  • 2相性:1シートにおいて、ホルモンの配合が2段階に変動するタイプ(※日本未認可 2023年1月現在)
  • 3相性:1シートにおいて、生理周期に合わせ段階的にホルモン量が調整されているタイプ

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:低用量ピル・高用量ピルの違いは?様々な種類のピルをご紹介します。 ゼロマチクリニック天神

第三世代ピル

デソゲストレルが配合されています。

ホルモンの配合バランスにより1相性でも副作用を抑えることが可能になり、全種類が1

相性です。

男性ホルモンの抑制効果が見込め、ニキビや多毛症の改善に効果が期待できます。

第二世代より頭痛などの副作用の減少が見込めます。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 視力障害
  • 肝機能障害
  • 悪心
  • 血栓症
  • 発疹など

また、長期服用により性欲減退や抑うつ症状などの副作用も報告されています。

第三世代は開発よりそれほど経過しておらず、まだ症例が少ない傾向があります。

第三世代のピルは以下が該当します。

  • マーベロン
  • ファボワール
  • ダイアン35
  • ジェミーナなど

出典:ピル(低用量ピル・超低用量ピル) アイレディースクリニック新横浜

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

第四世代ピル

ドロスピレノンが配合されています。

避妊効果が期待できる最小限のホルモン配合量で製造されています。

他の世代のピルは男性ホルモンがベースですが、第四世代では利尿ホルモンが主要として配合されています。

月経前症候群(PMS)や子宮内膜症の治療に効果が見込め、処方される場合は保険が適用されます。

ホルモン配合量が少ないので、副作用の減少が見込めます。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 頭痛
  • 悪心
  • 血栓症
  • 下腹部痛など

第三世代と同様、開発から日が浅いこともあり症例が十分でない傾向にあります。

服用には体調の変化を気にかけながら過ごすことが大切です。

第四世代のピルは以下が該当します。

  • ヤーズ配合錠
  • ヤーズフレックス配合錠など

出典:ピル(低用量ピル・超低用量ピル) アイレディースクリニック新横浜

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

超低用量ピルの種類

月経困難症や子宮内膜症などの治療目的で使用され保険が適用されます。

日本では避妊目的での超低用量ピルの処方は認められていません。(2023年1月現在)

超低用量ピルの種類について詳しく解説します。

出典:低用量ピルの避妊効果はどれくらい?避妊に失敗するのはどんなとき? ルナレディースクリニック

出典:ピルの料金・費用 的場ウィメンズクリニック横浜

ルナベル配合錠ULD

生理や子宮内膜症の痛みを緩和する効果が期待できるピルです。

ルナベルには以下の2種類があります。

  • ルナベル配合錠LD(低用量ピル第一世代)
  • ルナベル配合錠ULD(超低用量ピル)

違いはホルモン配合量です。

ホルモン量が多い場合、血栓症などのリスクがわずかに上がる可能性があります。

一方で含有量が少ないと不正出血などのリスクが上がる可能性があります。

ルナベル配合錠ULDを服用中不正出血が続く場合、LDに切り替えることで不正出血を抑える効果が期待できます。

しかし、異なるリスクを把握したうえでULDとLDの切り替えは医師に相談のうえ行うことが大切です。

21日間飲み続けて7日間休薬することで効果が期待できる薬です。

はじめて飲む場合は、生理(月経)の初日から5日目までに服用を開始することが大切です。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 視力障害
  • 足の痺れや腫れ
  • 血栓症
  • 息切れや胸痛など

出典:月経困難症の治療 渋谷文化村通りレディスクリニック

出典:お薬の飲み方【公式】ルナベル製品情報 富士製薬工業株式会社

フリウェル配合錠ULD

ルナベル配合錠ULDのジェネリック製品です。

生理や子宮内膜症の痛みを緩和する効果が期待できるピルです。

フリウェルには以下の2種類があります。

  • フリウェル配合錠LD(低用量ピル第一世代)
  • フリウェル配合錠ULD(超低用量ピル)

違いはホルモン配合量です。

ホルモン量が多い場合、血栓症などのリスクがわずかに上がる可能性があります。

一方で含有量が少ないと不正出血などのリスクが上がる可能性があります。

ルナベル配合錠ULDを服用中不正出血が続く場合、LDに切り替えることで不正出血を抑える効果が期待できます。

しかし、異なるリスクを把握したうえでULDとLDの切り替えは医師に相談のうえ行うことが大切です。

後発医薬品の為、薬剤費の負担が抑えられるメリットがあります。

21日間飲み続けて7日間休薬することで効果が期待できる薬です。

はじめて飲む場合は、生理(月経)の初日から5日目までに服用を開始することが大切です。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 視力障害
  • 足の痺れや腫れ
  • 血栓症
  • 息切れや胸痛など

出典:月経困難症の治療 渋谷文化村通りレディスクリニック

ヤーズ配合錠

日本では初めての合成ホルモンであるドロスピレノンが配合されています。

自然な黄体ホルモンの働きに近い効果が見込め、副作用の減少に期待できます。

月経困難症の治療薬として処方され、保険適用の薬です。

海外では主に避妊薬として認可を受けていますが日本では不認可である為、避妊目的では使用できません。

24日間(実薬)飲み続けて4日間休薬することで効果が期待できる薬です。

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 視力障害
  • 足の痺れや腫れ
  • 血栓症
  • 息切れや胸痛など

出典:月経困難症の治療 渋谷文化村通りレディスクリニック

出典:低用量ピル いけしたクリニック

ヤーズフレックス配合錠

主に月経困難症や子宮内膜症などの痛み改善を目的として保険適用で処方されます。

また、日本で初めて連続服用できるピルとして導入された種類です。

抗ミネラルコルチコイド作用によりピルの中ではむくみにくく、血栓症のリスクも抑えらる効果が見込めます。

服用サイクルは以下になります。

服用 休薬 再開
28日周期で服用 ・1錠/日

※服用開始から24日間は出血の有無に関わらず服用

・25日目から28日目までは4日間休薬 ・休薬後、翌日から服用再開

・再開後も24日間の服用と、4日間の休薬を繰り返す

最中120日間の連続服用と4日間の休薬を繰り返す方法 ・1錠/日

※服用開始から24日間は出血の有無に関わらず服用

・25日目以降

 →3日間連続する出血がなければ120日まで服用し、4日間休薬

→3日間連続する出血があった場合、翌日より4日間休薬

・休薬後、翌日から服用再開

・再開後も繰り返し

出典:ヤーズフレックス服用方法

副作用の可能性として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 吐き気
  • 気分の落ち込み
  • 眠気
  • 頭痛
  • 血栓症など

出典:ピルの種類と特徴・違い よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック

出典:月経困難症の治療 渋谷文化村通りレディスクリニック

アフターピルの種類

避妊せずに性行為をしてしまった場合や避妊に失敗してしまった場合に、緊急的に内服します。

正しく服用することでレボノルゲストレル法の場合、24時間以内で95%・72時間以内で85%程度の避妊効果が見込めます。

アフターピルの種類について詳しく解説します。

出典:アフターピルの仕組みと効果【公式】大阪にある心斎橋駅前婦人科クリニック

ヤッペ法

1970年代からある緊急避妊法で、中容量ピルであるプラノバールを用いる方法です。

ヤッペ法は、2錠を2回服用するのが特徴です。

1回目の服用は性交後72時間以内に2錠を服用し、2回目は1回目の服用から12時間後に2錠を服用することで避妊効果が見込めます。

1回に2錠を飲むということもあり、吐き気などの副作用が起こりやすい傾向が見込まれます。

服用の可能性として以下があげられます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 眠気
  • 血栓症など

どの避妊法においても100%避妊できるわけではありません。

ヤッペ法においては24時間以内の服用で77%ほど、その後は30%台の数値が出ています。

出典:緊急避妊ピル(アフターピル) 杉田レディースクリニック

出典:プラノバールによるヤッぺ法【服用方法】前川クリニック

レボノルゲストレル法

排卵を抑制することで避妊効果が期待できる緊急避妊法です。

ヤッペ法より避妊効果が見込め、服用が1回で済むことから副作用の減少に期待できます。

レボノルゲストレルは以下の効果が期待できます。

  • 排卵の抑制
  • 子宮内膜の増殖防止

主に排卵を抑制し、受精卵を作らせないことで妊娠を避ける効果が期待できます。

また排卵・受精した後に服用した場合は、子宮内膜の増殖を抑制することにより受精卵を着床しずらくし妊娠を避ける効果が見込めます。

72時間以内に1回服用することで緊急避妊薬としての効果が期待できます。

レボノルゲストレルの副作用として以下があげられます。

  • 吐き気や嘔吐
  • 食欲不振
  • 眠気
  • 血栓症など

性交後72時間以内の服用で90%以上の避妊効果が期待され、ヤッペ法より効果が見込めますがどの避妊法においても100%避妊できるわけではないことをしっかり把握するのが大切です。

出典:緊急避妊ピル(アフターピル) 杉田レディースクリニック

ミニピルの種類

日本では普及しておらず、国内では認可もされていません。(2023年1月現在)

しかしメリットが多く有用性が見込め、海外では血栓リスクのある方・産後や授乳中の方の避妊法として広く使われています。

ミニピルについて詳しく解説します。

ノリディ

第一世代黄体ホルモンのノルエチステロンが有効成分のピルです。

避妊や月経前症候群、生理痛の改善に期待されています。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

時間が大幅にずれてしまうと、避妊効果が見込めなくなる可能性があるので注意が必要です。

他のピルと異なり、休薬期間やプラセボ(偽薬)がないのが特徴です。

ノルディの副作用として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 吐き気や嘔吐
  • 乳房の痛み
  • 気分不良
  • 血栓症
  • 不安感やイライラ感など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

マイクロノア

第一世代黄体ホルモンのノルエチステロンが有効成分のピルです。

避妊や月経前症候群、生理痛の改善に期待されています。

エストロゲンを含まない為副作用の減少が見込め、副作用が酷いなど低用量ピルや中容量ピルが身体に合わない方に効果が期待できます。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

時間が大幅にずれてしまうと、避妊効果が見込めなくなる可能性があるので注意が必要です。

他のピルと異なり、休薬期間やプラセボ(偽薬)がないのが特徴です。

マイクロノアの副作用として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 吐き気や嘔吐
  • 乳房の痛み
  • 気分不良
  • 血栓症
  • 不安感やイライラ感など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

マイクロバル

第二世代黄体ホルモンのレボノルゲストレルが有効成分のピルです。

避妊や生理周期のコントロールに期待ができます。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

時間が大幅にずれてしまうと、避妊効果が見込めなくなる可能性があるので注意が必要です。

他のピルと異なり、休薬期間やプラセボ(偽薬)がないのが特徴です。

マイクロバルの副作用として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 下腹部痛
  • 乳房の張り
  • 嘔吐
  • 発疹・蕁麻疹
  • 血栓症
  • 浮腫
  • 不正性器出血など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

また、レボルノゲストレルにより男性ホルモンが活性化し過ぎる副作用(体臭が強くなる・多毛になるなど)を感じる可能性もあります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

ノルゲストン

第二世代黄体ホルモンのレボノルゲストレルが有効成分のピルです。

避妊や生理周期のコントロールに期待ができます。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

時間が大幅にずれてしまうと、避妊効果が見込めなくなる可能性があるので注意が必要です。

他のピルと異なり、休薬期間やプラセボ(偽薬)がないのが特徴です。

ノルゲストンの副作用として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 下腹部痛
  • 乳房の張り
  • 嘔吐
  • 発疹・蕁麻疹
  • 血栓症
  • 浮腫
  • 不正性器出血など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

また、レボルノゲストレルにより男性ホルモンが活性化し過ぎる副作用(体臭が強くなる・多毛になるなど)を感じる可能性もあります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

セラゼッタ

第三世代黄体ホルモンのデソゲストレルが有効成分のピルです。

避妊やニキビ・多毛症の改善に効果が期待できます。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

時間が大幅にずれてしまうと、避妊効果が見込めなくなる可能性があるので注意が必要です。

セラゼッタの副作用として以下があげられます。

  • 頭痛
  • 視力障害
  • 肝機能障害
  • 悪心
  • 血栓症
  • 発疹など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

ノアルテン

第一世代黄体ホルモンのノルエチステロンが有効成分のピルです。

生理周期の調整や無月経治療の改善に効果が見込めます。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

生理の始まった日から服用を開始し28日間、毎日決まった時間に服用することで効果が見込めます。

1錠あたりの黄体ホルモン量が少なくないので、避妊薬としての効果は見込めません。

ノアルテンの副作用として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 吐き気や嘔吐
  • 乳房の痛み
  • 気分不良
  • 血栓症
  • 不安感やイライラ感など

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

ディナゲスト

第四世代黄体ホルモンのジエノゲストが有効成分のピルです。

月経前症候群(PMS)や子宮内膜症の治療に効果が期待できます。

エストロゲンを含まない為喫煙者や授乳中の方など、他のピルを使用できない方も服用可能とされています。

ホルモン配合量が少ないので、副作用の軽減に期待できます。

ディナゲスト副作用の可能性として以下があげられます。

  • 不正出血
  • 頭痛
  • 悪心
  • 血栓症
  • 下腹部痛など

月経開始2日目から5日目に服用を開始し、1日2錠を服用することで効果が見込めます。

副作用の減少が見込める薬ですが、含有するホルモン量が少ないことから不正出血の可能性があります。

排卵を抑制する効果が見込めるので、飲み忘れなどがなければ避妊作用がある可能性はあります。

しかし子宮内膜症に特化した試験しか実施されていない為、避妊薬として適用は通っていません。

出典:ミニピルの特徴と血栓症のリスク 肌のクリニック高円寺麹町

出典:ミニピル処方 池袋クリニック

出典:40歳を超えて月経困難症に苦しむ方へ 的場ウィメンズクリニック

ピルの種類に関するよくある質問

ピルの種類に関してよくある質問は以下です。

  • 効果がでるのは飲み始めてどれくらいか
  • ピル服用中に他の薬は飲めるのか
  • ニキビに効果的なのはどのピルか
  • ピルが合わない時はどうするのか

それぞれ詳しく回答します。

ピルを飲み始めてどのくらいで効果が出るの?

効果が見込める時期の目安は以下になります。

避妊効果 服用開始から8日目以降
月経に関する改善効果 服用を始めた次の生理から
ニキビなどの肌荒れ改善効果 服用を始めておよそ3ヶ月程度たってから

出典:ピルで対策できる⁉PMS(月経前症候群)とは?原因・症状・対策を徹底解説 ネオクリニック

出典:低用量ピルの種類は全部で4つ!それぞれの違いや特徴は? プライベートクリニック高田馬場

出典:ピル外来 クリニックロタージュ

他の薬を服用していてもピルは使用できる?

市販の薬は基本的に、ピルと併用しても問題ないとされています。

しかし病院で処方される薬にはピルの効果に影響する薬がある為、医師にピルを服用していることを必ず伝えることが大切です。

ピルと飲み合わせに注意を要する主な薬は以下になります。

併用してはいけない薬剤 ・ヴィキラックス配合錠(C型肝炎の薬)
ピルの効果を減弱させる薬剤 ・効果物質(テトラサイクリン系・ペニシリン系)

・抗てんかん薬(バルビツール酸系・ヒダントイン系)

・神経刺激薬(モダヒィニル)

・抗結核薬(リファンピシン・リファブチン)

・抗HIV薬(非二クレオシド系逆転写酵素阻害薬・HIVプロテアーゼ阻害薬)

ピルの効果を増強させる薬 ・解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)

・抗真菌薬(フルコナゾール・ボリコナゾール)

ピルによって効果が減弱する薬 ・血糖降下薬

・モルヒネ

・解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン)

ピルによって効果が増強する薬 ・副腎皮質ステロイド

・三環系うつ剤

・免疫抑制剤(シクロスポリン)

出典:ピルと飲み合わせに注意を要する代表的な薬 Morita Ladies Clinic

下剤の併用は可能ですが、下痢などによりピルの成分が排出されてしまう可能性があります。

4時間ほど間を空けてのむのがおすすめです。

ニキビに効果的なピルの種類は?

第三世代・第四世代のピルがニキビの改善に効果が見込めます。

特に以下の3種にニキビ改善効果が期待できます。

  • ファボワール(低用量ピル)
  • マーベロン(低用量ピル)
  • ヤーズフレックス(超低用量ピル)

出典:ニキビに効果のあるピルの種類 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック

今服用しているピルが合わないと感じたら?

ピルの服用をはじめてから頭痛や吐き気、不正出血などの副作用が起こる可能性があります。

ピルにより体内のホルモンバランスが変化する為です。

3シート程服用を継続することで体が慣れてくると、症状の落ち着きが見込めます。

軽い副作用であれば、しばらく様子をみましょう。

副作用と思われる症状が重い場合や長期間続く場合は、医師に相談することが大切です。

また、飲み合わせなどにより副作用が強くでる可能性があります。

飲み合わせに問題ないか確認することも大切です。

出典:低用量ピル 藤東クリニック

ピルに対する偏見について

世界的に見ても先進国の中で日本だけが、ピルに関して後進国であると言われます。

ピルと聞くとイメージするのは「避妊効果」ではないでしょうか。

避妊以外の副効果としてPMSや月経など、生理にまつわるトラブルの治療に期待でき、保険適用で処方されるということを知っている方は多くはありません。

2002年から2016年までのデータでは、日本でもピルを使用する方は4倍程に増えています。

特に20代の服用率が7%から9%で、日本でも徐々にではあるもののピルが普及していることが感じられます。

しかし世界のピル事情から見ると日本の普及率は2.9%ほどと、欧米の先進国と比べると圧倒的な差があります。

大きな理由に日本の性教育の遅れがあげられます。

日本が年間平均して3時間程度しか学ばないのに対し、世界では多くの時間を幅広い観点からの性教育に割いています。

最低限で終わる日本の性教育によるピルの認識に以下があげられます。

  • 日本人にとってピルになじみがない
  • ピルの避妊効果を含めた女性にとってのメリットを教わらない
  • 日本では男性主導の避妊法がメジャーである

ほとんどの先進国同様、日本での段階的に合わせた幅広い観点からの性教育が女性主導型の避妊法という考えの定着につながり、ピルが日本においてもメジャーになる可能性につながります。

出典:一般社団法人 日本家族計画協会

出典:日本は低用量ピル後進国?日本で普及率が低い理由について医師が解説します CLINIC FOR

ピルの種類まとめ

ここまでピルの種類についてお伝えしてきました。

ピルの種類についてまとめると以下の通りです。

  • 配合量の違いにより5種類のピルに分けられる
  • 中用量ピルはプラバノールのみ
  • 低用量ピルは黄体ホルモン別に第一世代から第四世代に分かれる
  • 超低用量ピルは4種類
  • アフターピルはヤッペ法・レボノルゲストレル法
  • ミニピルは7種類
  • 日本でピルの普及が滞る背景に性教育の遅れがあげられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。